第27話 蝶は一匹でいいな
どこかの、馬鹿魔道士が作ったローションモンスターを倒した次の日。オレ達は、ギルドの隣の酒場で、次にどこに行くか、改めて話し合っていた。
「侵入禁止エリアに、あんなゲテモノモンスターがいるなんてなぁ」
『まぁ、ある意味、強敵じゃたな。ワシも初めて見たし、作れる気がせんわい。発想はアホじゃが、狙って作っていたら、間違いなく天才魔道士じゃ』
クロスが、他人を褒めたのを初めて聞いた。もう2度と、あんな魔物には会いたくない。
それに、使い道なんてアレしか、おもいつかない……この世界には、アレ系の専門店は見た事がないから、自作してたのか?
「勿体なかった、あんなレアモンスターいないのに……本当に、残念です」
「超レアモンスター……」
「利用価値の高い、希少モンスター」
残念がるアイス達、3人を見るとアレに全滅しなくて本当に良かったと、心の底から思った。
クロスが内緒で、教えてくれたが、実は大量のローションが、モンスターの素材として確保されているが、絶対に言わない。ギフターブとオレが、死んでしまう。
「あそこは、おかしいんだよ。あの、ダンジョンはスペル王国が裏から、ギルドに圧力をかけて、侵入禁止エリアにさせたらしいんだよ」
ギフターブは、不思議そうに疑問を並べた。
王族が、自分達用に確保していたのか? お世継ぎを作るのも、大変だよなぁ……そんな、訳ないよな、余りにもスペル王族がアホになる。
「そうだ、ガイス将軍に聞いてみよう。オレ達には、珍しく高感度いいし、教えてくれるんじゃないか?」
『ユウ、冷静になれ。もし、王国が本当に裏にいるなら、重要なモンスターを殺した事になる。下手をしたら、処刑じゃぞ』
クロスの言葉に、脳裏でパーティー全員が、ギロチンにかけられているのがよぎった。
「とりあえず、パーティーの仲間たちの胸の奥に思い出として、閉まって置こう」
「そうだな、世界を救う前に処刑だなんて、冗談じゃないな」
ギフターブとオレは、熱い握手と共に忘れる事にした。
侵入禁止エリアは、まだスペル王国にあったので、さすがにあんなダンジョンは、もうないだろう思い、陽炎の谷に行く事にした。
陽炎の谷に行った人に、幻を見せて、行方不明になるとゆう話で、スペル王国の一個中隊が突如として消えた……消えた中隊を捜索する為に、陽炎の谷に行った者は、誰も帰って来なかった。
「普通の谷だな……」
小さな小川が流れ、大自然に囲まれた田舎の谷だった。
辺りを探査したが、雑魚モンスターしかいないので、雑魚モンスターは当たり前のように全滅させた。
「本当にココが、陽炎の谷なのか? ギフターブ」
「地図を見ても、ココなんだよな」
ギフターブの横から、地図を見たが合っていた。また、時間かかる奴かな……木漏れ日が気持ちいい、小川の流れる音、鳥のさえずりに凄く眠くなった。
「なんだか、眠たいなぁ」
みんなも眠そうだったので、結界を張り、寝る事にした。ギフターブの膝枕で寝る双子達。
アイスもいつの間にか、オレの胸でヨダレを垂らして寝ていたが、眠た過ぎてどうでもよくなった。
『ユ……ウ……ユウ……ユウ起きるんじゃ!』
クロスが、風魔法でオレ達を中心に風の壁を作っていたが、寝起きで頭が、ボーとする。
『ワシがいなかったら、全滅してる所じゃ! いい加減に、目を覚さんか!』
クロスが怒り、オレを含めた全員に軽い電流を流した。
「痛ッ!」
ようやく目を覚ました。オレが、見たのはオレ達にちかよろとするが、風の壁に邪魔されている派手な色合いの蝶が、大量に飛んでいた。
『ようやく起きたな、ユウ! 3種類の厄介な蝶のせいで、結界が砕けた! 風魔法と火魔法でとりあえず吹き飛ばせ、鱗粉を焼き尽くせ! 時間が稼げる」
焦った感じのクロスの言う通りに、炎の風で蝶を吹き飛ばしたが死んでいない。
クロスの説明だと、赤い蝶は、炎と風が効かない。
青い蝶が、
黄色い蝶が、
『最悪の組み合わせじゃ。幻視蝶がまずい……ユウ以外は、ワシが気付くのが遅く、寝ている』
マジでやばい、こんな信号機みたいな蝶にやられるなんて、風魔法で気流を操作して近づけないようには出来るようだが、ダメージは与えられない。
土魔法で、潰すには幻視蝶が邪魔だ。川の中には、よく見たら砕けた骨がある。コイツらのせいで、全滅してたのか。
あの、亀から変な、流れに成りやがった。亀、木、蝶なんなんだよ。一体……
「そうだ、クロス! ローションだ! 竜巻で吹き飛ばすから、ローションを混ぜろ!」
クロスは、オレの作戦をすぐに理解した。風魔法の竜巻で、全ての蝶を吹き飛ばす時に、大量のローションが混ざり、蝶を吹き飛す。
蝶達は、ローションで飛べなくなり、地面に落ちたままだった。
すかさず、炎眠蝶と雷禍蝶を土属性のブラストで討伐した後に、幻視蝶を、ガントレッドでプチプチ殴り殺した。
「ヤバかったな、全滅する所だった」
殴り疲れて、尻餅を着いていた。
『ああ、一匹だと弱いが纏まるとやばいヤツらじゃが、すっかり忘れていた」
「なにがた、クロス……」
クロスの言葉に、まだ戦闘が終わっていないと思い緊張が走る。
『幻を見ている、アイス達じゃ』
「えっ!」
肩を叩かれると、目が血走り、興奮したアイスが舌を口に入れてきた。
何か起きたんだ。
「あんな風に、誘っていなくなるなんてユウには、お仕置きが必要ですね」
鞭をバシッと鳴らしながら、舌舐めずりするアイスが、サドスティックな目で笑っていた。
「ギャャアアアーーーー!!」
陽炎の谷に、ユウの叫びが木霊した。
魔導書になったご先祖様とオレの冒険譚 カラッと唐揚げ @taku44
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