第10話 ゲートは危険だよな


 ペットに、ケルベロスとヘルバウンドを連れた、ツルツル悪魔と対峙していた。


「お前、馬車や冒険者を殺したのか?」


「あん? 冒険者は、知らんが、森に来た人間は、ケルちゃんとヘルちゃんのおやつにしたぜ」


 当たり前のように、悪魔は答えた。襲撃の原因は間違いなく、コイツのせいだ。


「アイス! 原因はコイツだ! 倒すぞ!」


 アイスに言うのと同時に、ブラストの魔法を展開する。


「悪魔を野放しはいけません!」


 アイスもブラストの魔法を展開する。


「人間なんて、ケルちゃんとヘルちゃんのおやつだ。 行け!」


 ケルベロスとヘルバウンドが、牙を剥き出しながら、襲い掛かってくる。


 しかし、オレとアイスの12本のブラストが、ケルベロスとヘルバウンドに穴だらけにして、後ろにいた悪魔の腹に穴を開けていた。


「油断していた、おかげで助かったな……」


「あれ、クロちゃん。悪魔忘れてますよ」


 ケルベロスとヘルバウンドの死体は消えたが、悪魔の死体は残っていた。


『馬鹿者! ヤツは生きているぞ』


 悪魔がいつの間にか起きて、怒っていた。


「人間共め! よくも、よくもケルちゃんとヘルちゃんを殺したな!」


「アイス! 例の技を試すぞ!」


「わかりました。私に、お任せ」


 アイスが魔力を集中して、貯めている間に、オレが魔法で交戦する。


「くらえ!」


 水の刃、ウォタースラッシュと水の散弾を飛ばす、スプラッシュで攻撃するがまるで効果がないが、想定済みだ。


「無駄だ! 人間!」


 オレに、殴り掛かってくる、悪魔の攻撃を交わしながら、アイスの様子を伺うと準備が完了したようだ。


「今だ! アイス!」


「ダイヤモンドダスト!」


「がっ! に、人間がっ……」


 アイスの魔法で、ずぶ濡れの悪魔が凍りつき、バラバラに砕けた。


「はー、しぶといな悪魔は、なんで悪魔がいるんだ?」


『ユウ、もしやゲートが、あるかも知れないぞ』


「ゲートって、ゲームでよくある、悪魔や魔物が魔界から召喚されるってヤツか?」


 RPGでよくある、魔法陣や次元の亀裂等を想像していた。


「ゲートなら、知ってます。確か、限定的に地獄と繋げるんですよ」


 アイスが、自信満々に言っていた。


『あっとる、つまらん』


 クロスが、明らかにテンションが低い感じになっていた。


「アイス、この手の説明は、クロスが好きだから取ったらダメだぞ」


「そ、そうか……ごめんね。クロちゃん」


『まあ、気にしとらんが……次はないぞ』


 明らかに、気にしているクロスが、聞こえるか聞こえないか、微妙に小さな声で言っていた。


 悪魔とペットを倒した後、森の奥に進むと廃墟になった教会を見つけた。


 ボロボロの教会の中に、巨大な鏡が置いてあった。


「鏡が不自然に置いてあるから、これがゲートだな……」


 オレが、鏡の感想を言うとクロスが、一言。


『惜しい……鏡と床にある、魔石のセットでゲートじゃ』


 床には、拳大のキラキラ光る、石が埋めてあった。


「すごく、巨大な魔石ですね」


 アイスが魔石を見ながら、びっくりしていた。


「じゃあ、壊すんだろ?」


『馬鹿を言うな、勿体無い。有り難く、貰うのじゃ。ゲートなら、使い道が沢山あるからな』


「そうですよ、これだけの魔石は貴重なんです」


 こうゆうイベントのアイテムは、ろくな事が無いんだが、大丈夫だろうか……


『なんじゃ、心配は無いぞ。有効活用せねば、勿体無いお化けが出るぞ』


「おお、クロちゃんは、いい事をいいますね」


 最近、アイスとクロスが悪い方に息がピッタリなんだよなぁ。


「『イェーイ!』」


 ゲートを回収した後、周辺を調べたが特に異常はなかった。


 念の為に、廃墟の教会は粉々になるまで燃やし尽くした。


 ギルドに、ゲートと魔族の報告をしたが、現物を見せるまでは、信じていなかったが、ケルベロスとヘルバウンドの死体に、粉々になった悪魔の死体で信じてくれた。


「エグい、エグすぎる……」


 冷凍ミンチになった元悪魔を見た、アフターが嘔吐していた。


「君達は、色々な意味で凄いな。まさか、魔族を倒してしまうなんて……」


 オレ達は、ゲートを壊した事にした。魔法で廃墟の教会ごと、チリにした。……とゆう事になっている。


 なんでも、扱いが悪いと大変な事になるから、渡さない方が良いと、クロスが推したからだ。


 オレとアイスは、Aランクになった。


『「「イェーイ!」」』


 ギガント街の酒場で、昇格祝いの飲み会をする事になり、酒に、ご馳走の数々で、舌鼓を打っていた。


「アイス、飲み過ぎには、気をつけてくれよ」


「飲み過ぎた時は、ユウが優しく介抱してくれるから、いいんです」


 すっかり出来上がったアイスが、上機嫌でジョキ片手にフラフラしていた。


『ユウ、アイスは何をするか分からんからな、気を付けろよ』


「わかってるよ」


 アイスは、酒癖が悪い。上機嫌な時は、特に危ない。

 以前、上機嫌なアイスに柄の悪い冒険者が絡んで来た時に、魔法を連射して店を全壊させた事があった。あれから、注意するようにしている……


「ユウ! 飲んでますかーー!」


「アイス! こっちに来るんだ……」


「はい! なんでしょうか?」


 ビシッと敬礼のポーズをする。アイスを引き寄せ、頭をポンポンと撫でながら、耳元で囁く。


「部屋に帰るよ」

 

「帰ります、デヘデヘへへへ……」


『慣れて来たな、アイスの扱いに……』


 最近、毎日アイスが事件を起こさないように、面倒を見ていたが、ようやく扱い方が分かって来た。


 オレが、イメージする。イケメンにしか出来ない事をすれば良いと……

 精神的なダメージで胃がキリキリしながら、アイスをベットまで運び、アイスの頭を撫でながら寝るのが最近の流れになっていた。


「かなり、キツいな……コレ」


 今日も胃がキリキリするが、笑顔で寝るアイスの顔を見ると、しょうがないな、と考えてしまうオレがいた……

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