第24話 亀はヤバイな
ガレス将軍の依頼でオレ達は、スペル王国から東にある、スペル大平原に来ていた。
依頼のさまよう湖は、霧の多い日に進軍中の傭兵達の足元に突然あらわれた後、ほとんどの傭兵達を溺れさせた後に、何の前ぶりもなく消えた。
そんな事が、何回かあったので他の冒険者が調査をしたが、手掛かりもなく調査は終了した。
そこで、大魔法を使い、魔物の大進行を解決し、Sランクになったオレ達に依頼をしたようだ。
「しかし、だだの原っぱだな」
馬車の馬が、草を食べ、小鳥のさえずり、危険だとは思えない程の平和が広がっている。
「霧もないし、どうする? 間違いなく長期戦だぜコレは……」
ギフターブが、平和な野原を見ながら呟く。
アイスと双子が、野原で寝転びながらあくびをすると寝始めた。
手掛かりが何にもないから、作戦の立てようがないしな〜
アイス達と、寝転ぶとギフターブに言った。
「焦っても、しょうがないから寝て待つか。家宝は寝てまでってゆうしな……」
「呑気なもんだな、結界もあるし、ユウが言うならオレも寝るか」
ギフターブが寝ると、寝ていたはずの双子がギフターブに近寄り、一緒に寝始めた。
『呑気な、奴らじゃ……』
クロスは、呆れていたがやる事がないから、コレでいいのだ。
♢♢♢
どれくらいたったのか、分からないが起きると霧の中にいた。
「いや〜、たまには寝てみるもんだな。みんな起きろ! 霧が出てるぞ!」
濃い霧のせいで、視界が数メートルも見えない上に、あちこちから気配を感じる。
アイス達は、起きるとすぐに現状に気づき戦闘態勢になるが敵がわからない。
『足元に気を付けろ! コイツは、ミストレイクドラゴンじゃ。 水に触れるな、吸い込まれるぞ!』
クロスの叫びに、足元にジワジワと水が流れて来ていたので、距離をとる。
『水は、コールタールのような性質を持つ、ドラゴンの体の一部じゃ。ありったけの水魔法を放つのじゃ』
オレとアイスで、水に水魔法を叩き込む。
「ダイダルウェーブを放ちます。みんな、もっと距離をとって!」
距離を大幅にとった後に、アイスの魔法で野原に、大津波が現れ、一面を飲み込んでいく。
霧が晴れると、ドラゴンの姿が見えた。
「なんだ、コイツは!」
巨大なスッポンの見た目だが、甲羅の部分が黒い水瓶のようになっていて、大地の中を壊さずに泳いでいる。
『ヤツは、次元の狭間を泳ぐドラゴンじゃ。あの水瓶からも、獲物を吸収するのじゃ。魔法を食う事も出来るぞ」
霧を目隠しにして、陸を泳いで獲物を捕食するのか? デタラメな、亀ドラゴンだ。
陸から、顔を出すと噛みつこうとしてくる。
「あぶなっ!」
体の横を、亀ドラゴンの頭がかすめる。
『火は使うなよ、背中の水は燃えるんじゃ』
火魔法を使おうとした時に、クロスが言ったので地面に魔法を叩きつけり。
「あぶねー、火の海になる所だった。アイス! 合図をしたら、地面を凍らせてくれ!」
アイスが、笑顔でグッドサインを出す。
「コレでも、くらえ!」
ガントレッドで、地面を刺すと地中に、ショクウェーブを、流す。地中に、衝撃の波が伝わりながら、亀ドラゴンが地中から空高くに飛び出した。
「今だ!」
「ダイヤモンドダスト!」
アイスの魔法が、地面を凍らせて亀ドラゴンは潜る事が出来ずにジタバタしていた。
『今じゃ、殴り殺すんじゃ』
オレが、ガントレッドで殴り。双子が刺付きバットで殴り。ギフターブが、宝珠でボコボコにした。
数分後〜
「ハァー、ハァー、中々、しぶとかった」
「疲れた……」
「ご褒美、特盛」
「コイツは、ヤバかったな。体中がガントレッドと同じになったな……」
アイス以外は、血塗れになり、亀ドラゴンはあらゆる穴から血を吹き出し、死亡した。
クロスが、ミストレイクドラゴンを回収した後に、アイスが魔法で当たり一面をオレ達ごと洗った。
「みんな、バッチいです! ダイダルウェーブ」
「ふざけるな! やり過ぎだぞアイス!」
双子とギフターブが、流され木にぶつかり、ようやく止まっていた。
「だって、血塗れで臭かったんだもん。ちゃんと弱目にしたんですよー」
「やるなら、言ってからにしてくれ」
オレは、咄嗟に地面を刺し、流されないようにしたから流されなかった。
気絶したギフターブ達を、馬車に回収した後にガレスに報告しに行った。
「こんな、化け物がスペル大平原にいたのか……さすがだ! あなた達に、依頼して正解だった!
また、何かあった時は、依頼を出します」
笑顔のガレスに見送られ、ギルドに報告しに行った時だった。
「お帰りなさいませ。アイス様!」
ギルド職員が、アイスに敬礼をしながら手続きを今までにないくらい、丁寧にしてくれた。
「アイス様に敬礼!」
ギルドから、出て行く時に敬礼をされた。
回りの冒険者は、目を背けるか、敬礼をしていた。
「どうしたんた?」
「お灸が効き過ぎましたね」
テヘペロをするアイスを見て、オレ達の悪評が上がった事だけは、すぐに理解できた。
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