第23話 きれたら怖いな
「何でなんだ!」
オレが、ギルドの隣の酒場で酒瓶を机に乱暴に置くと、回りの冒険者がビクッと反応した。
「はぁ〜、まさか、パーティー名の変更が、出来ないなんて……」
溜息をつきながら、ギフターブが呟いた。
魔樹の大森林から出た、マッチポンプの魔物達を全滅させた後に、パーティー名を変えようとしたが無理だった。
パーティーリーダーのオレか、サブリーダーにいつの間にかなっていたアイスじゃないと、変更はダメと言われた。
オレは、字が書けない。アイスは、絶対に嫌だと暴れて、オレ達は『アイスとユウのラブラブ、愛の花園とその仲間達』のままだった。
「どうりで、オレ達だけ名前で呼ばれる、はずだよ……」
普通は、呼ばれる時に、パーティーを名を言った後に名前を言うが、オレ達はギルド職員、全員が嫌そうな顔してから呼ばれる。
「謎が一つ解けたな……」
「ああ、知りたくなかった、真実と共にな……」
落ち込むオレとギフターブに、アイスは不機嫌になりながら、双子とバニラアイスを食べていた。
「何が、嫌なんですか? わかりやすくて、素敵なパーティー名なのに……ねー、リクちゃん、ソラちゃん」
「「ねー」」
完全に双子は、アイスの味方になっている。お互いに何やら、協力関係にあるようだ。
「もう、パーティー名は諦めよう」
「ユウは、字を覚える気は無いんだな……」
ギフターブは、簡単に言うが、前に挑戦したが難しく嫌になった。英語は、昔から苦手だ。
「すいません、ユウさん、一行の皆さん。マスターのヴィルマがお呼びでーす」
流れる、アナウンスはパーティー名を言わず、最後の方は、嫌気が差していた。
「ほら、アイス。職員さんが、頑なにパーティー名を言わないだろ。最後の方なんて、語尾が伸びて、馬鹿にされてるじゃないか」
アイスに、説明をしているとスーっと立ち上がり、アナウンスをしていた職員の女性の方に歩いて行った。
「さっきアナウンスをしたのは、あなたですよね?」
「はぁ〜」
気のない返事をした、職員の机をアイスが粉々に叩き壊す。
「ヒィー!」
「消滅したいんですか? あなた……」
えー! 何やってるの? あの子は! 突然の事に全員の時が止まっていた。
「わかってるんですか? 証拠なんて残しませんよ? なんなら、魂をすりつぶして、粉々にしましょうか?」
笑顔のままで、態度の悪かった職員を脅すアイス。震える小動物のような職員の女性は、恐怖のあまりに、白目になっていた。
回りの職員も恐怖から、泡を吹く男性職員やオシッコを漏らし泣く、女性職員もいた。
「アイス、落ち着くんだ。オレは、可愛いアイスが、好きだぞー」
「やだー! みんなの前で恥ずかしいですよー」
アイスが、切れたら怖いな。静かに、冷静に切れるタイプだ。アイスを、引っ張ってヴィルマのいるギルドマスターの部屋に、みんなで行った。
「おめでとう! あなた達は今日から、Sランクの冒険者よ!」
「どうしたんだ、突然……」
魔樹の大森林による、魔物の大暴走を解決した事と、毎日山のような納品でギルドは、莫大な富を手にしていた。
評判は最悪だが、無視出来ないまでになった、功績の数々にギルドが重い腰が上げたようだ。
「だって、討伐系のクエストを全てあなた達だけで最近は解決してるから、評判さえ良ければ、すぐにでも、Sランクだったのよ」
呆れるように言うヴィルマ。
「後は、ガイス団長からの推薦が後押しになって今回のSランク昇格になったのよ、本当は試験とかあるけど……あなた達が、討伐する魔物の方が難しいのよね」
クロスが放った、極位魔法を見たガイスが推薦し、依頼を頼みたいようだ。
断る理由がないし、国の偉い人とパイプが出来れば、評判の最悪なオレ達にも、理解者が増えるかも知れない。
職員達にも、オレ達がSランクになったと発表された時、全員が顔面蒼白になっていた。
アイスの、脅しが真実だと全員が理解してからは、職員の間で"恐怖の女帝 アイス様"と呼ばれるようになる。
ガイスの依頼を受ける為に、オレ達はスペル傭兵団に向かった。
「待っていたぞ! ユウ殿!」
凄いフレンドリーになった、ガイスが握手をしながら、めちゃくちゃご機嫌だった。
「いやー、あの凄じい、化け物じみた魔法には感激しました。自分の判断で、皆さんの事が世間にバレたら大変だと思い、戒厳令を出したんですがよかったですか?」
「えっ! そうだったんですか? すいません推薦してくれたのに、戒厳令まで助かります」
何で、こんなにいい人になってるの? まるで別人なんですけど……
「それで、依頼したいのがランクSの"さまよう湖"
を調査して欲しい」
「さまよう湖?」
最初の高ランク、クエストは意味不明の謎クエストだった。
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