第19話 整理整頓は大事だな


 ギフターブ達とパーティーを組んでから、オーリアの冒険者ギルドは目がまわる忙しさに、職員達は顔色が悪かった。


「大変だ、アイツら来たぞ!」


「今度は、どんだけ持ってきたんだ……」


 絶望する、職員とは変わり笑顔の女性がいた。

 オーリアのギルドマスターである。金髪の元・魔道士のヴィルマだ。


「待ってたわ! ユウちゃんにギフちゃん、今日はどれだけの魔物を持って来たの?」


 Fカップはあるかも知れないほど大きな胸を、揺らしなから聞いてきた。


「そ、倉庫にに頼みます」


 ヴィルマは、スタイルがすごく良い女性で30代ぐらいに見える。


「あの、アイスさん、くっつき過ぎで、歩き辛いんだけど……」


「ダメです! 絶対に離れません!」


 ヴィルマが近くいると、アイスは必ずピッタリとオレの腕をくっ付けてくる。


 ギフターブも、双子のソラとリクが両腕に捕まって宙に浮かぶ程だ。


「は、離してくれ、両腕がもげる」


「嫌……」


「嫌……」


 涙目のギフターブに、オレが納品するから休んでくれと、言っておいた。可哀想て泣ける……


 倉庫に大量の魔物を出して納品する。最近、毎日同じくらい納品していた。


「無限地獄かよ! 毎日、朝から深夜まで、魔物を解体しても、新しく同じ量が来るんだ! アッハハハハ……」


 ギルドの職員の1人が、発狂して他の職員に連れて行かれた。


「あのー、大丈夫なんですか?」


「大丈夫よ! 倍に増員したから、ドンドン納品してちょーだい!」


「本当ですか? じゃあ、他に倉庫が有れば、今出した倍は納品、出来ますよ」


 オレの言葉に、顔面が蒼白になる職員達。


「倉庫が無いわね。あなた達が作れるはずもないしね……」


「簡単な倉庫なら、作る事が出来ますよ」


 チマチマ納品するのも面倒なので、今の2倍を納品が出来るなら楽になる。悪い話ではない。


「ユウ、ソイツの依頼を受けるんですか?」


 ぽっぺを膨らませたアイスが、涙目でみてくる。


「収納魔法の空きを作りたいんだよ。別に、平気なんだけど邪魔くさいんだよな」


 RPGで、アイテム欄がぐちゃぐちゃになっている感覚に近い。オレは、整理整頓するタイプだ。


「ヴィルマさん、依頼を出すなら、仲間達と相談してから受けますが、どうしますか?」


「ヴィルマさんなんて、他人行儀ではなく、ヴィルマってよ・ん・で……」


 近づいてくる、ヴィルマの顔……


「ユウから、離れてよ! 年増! ユウは、私のなの!」


 アイスが、ヴィルマを突き放す。最近、よく見る風景だ。


「これだけ、有能で他のギルドが手を出していない優良物件はないのよ! オーリアをホームにしてくれたら、最高なんだから諦めないわ!」


 自由に旅がしたいから、無理だと前に言ったんだが、諦めてくれずアイスが毎回、こんな感じになっていた。


「倉庫はどうしますか? 何なら材料からこちらでやりますよ?」


「えっ? いいの? じゃあ、頼んじゃおうかしらね」


 ギルドの隣にある、酒場でギフターブは双子を両膝に乗せていた。


「参った……どんどん酷くなるな」

 

「そうなんだよなぁ」


 ダンジョンから戻った後に、ギルドに大量に納品しようとした時だった。

 今までにないくらいの大量納品に、ギルドマスターのヴィルマが現れ、オレ達2人を色気で勧誘しようとした。

 それから、アイスと双子はこうなりました。


 ギルマスのヴィルマから、倉庫の依頼の説明と納品魔法の空きを作りたい事を話した。


「そういえば、ユウの魔物在庫はどのくらいあるんだ?」


「毎日納品している、20倍くらいかな?」


「そ、そうか、しばらく遊んで暮らせる位、あるんだな」


 苦笑いのギフターブだか、ギフターブ達が入り空きがなくなったから討伐スピードと、量が掛け算で、跳ね上がっていた。


 クロスとグラディウスが収納にしているので、楽勝なのだ。アイスは、魔導書の細かい制御が難しい、クロスを中心にオレが手伝う構成になっていた。


「倉庫の依頼を受けたら、自由に作れるだろ」


「嫌な、予感がするな」


 不安そうなギフターブ。そんな時、双子が珍しく提案して来た。


「魔樹の大森林が最適……」


「エビルプラント、エルダープラント、木材いっぱいある」


 それは、良いな。珍しい事もあるもんだ。


「じゃあ、魔樹の大森林に行くか」


 必要な物を買い、馬車で移動する為に乗り合い馬車に行った。


「馬車を買うかな? どう思う?」


 いちいち、馬車を待たなくても良いなら、買った方が楽な気がしてきた。


「私は、賛成です。馬車に揺られながら、ユウと一緒に景色を見るのは素敵です」


「馬車は、結構高いぞ」


「大丈夫だよ、必要経費だ。オレが買うから安心してくれ。どこで、買えるんだ馬車は?」


「「さぁ?」」


 ギフターブとアイスが、同時に首を傾げる。


『馬車は鍛冶屋で作ってもらい、馬は馬主から買うんじゃ。すぐ欲しいなら、ギルドで聞いて中古を探すのが早いぞ』


 ナイス、クロス! さすがは年の功だな。


「ギルドで聞こうか、早く済みそうだ」


 ギルド職員に聞こうとすると、明らかに対応が悪い。


「貴方! 何をしているのよ!」


 困りながら立ち往生していると、ヴィルマが助けてくれた。

 同じ事が起きないように教育すると、言っていたのでヴィルマに任せた。

 

 ギルドの馬車を1つを安く、売ってもらい。魔樹の大森林にオレ達は、出発した。






 

 

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