第14話 解決だな


 オレを庇い、アイスからは、氷の塊が腹に刺さり血が流れていた。リューズに、助けて欲しかったが何処かに、逃げたか隠れていなかった。


「クロス、魔法で治療はできないのか?」


『無駄じゃ、ヤツは呪いの塊。呪いが強すぎる。表面だけを凍らせるんじゃ。このままだと、出血多量で死んでしまう」


 氷の塊を抜き、傷口を凍らせていく。

 

 両足が凍っている左腕の化け物が、力づくで、足にある氷を砕こうとしていた。


「お前は、そこから動くな!」


 今までに、怒りから無い感覚がある。憎い。ヤツが、たまらなく憎い……ヤツを潰してやる。


『ユウ……何をしているんだ?』


 左腕乃浸食者は、両手と地面に着き、両足から地面に沈み始めている。


『重力の魔法なのか?』


「沈めーー!」


 叫び声と共に、大きく穴が空き落下しくが、あのジャンプ力。時間稼ぎにしかならない……


「……うっ……」


 気を失いう、アイスは呻く事しかできない。


「時間がない。血は止まったが体温が下がりづつけている……方法はないのか? 最強の魔導書なんだろ? クロス!」


 アイスが死んでしまう……気持ちだげが焦り、頭が回らない。クロスだけが、頼りだった。


『方法はあるにはあるのじゃが……ユウ! コレをやると、後戻りができないのじゃ……』


 穴からヤツが、ジャンプをしながら登ってくる音に、気配を感じる……


「構わない……やってやる! だから、その方法で、アイスが助かるなら、やってくれ!」


『……自分をなくさないでくれ、頼む! ユウ』


「自分の祖先を信じろよ……ご先祖様……」


『わかった! これより、真の契約を結ぶ! 神田 優よ! 血の証を我に示せ!』


 クロスから、魔法陣と共に黒い波動みたいな物が出ていた。


『ワシの表紙に血の手形を押すのじゃ!』


 ナイフで手の平を切り、手形をつけると後ろに地獄の門が現れ、ゆっくりと開かれて行く。


 穴から、左腕乃浸食者が出て来た所で、門の中に体が吸い込まれて行く……


『すまない。全てをユウに託す事を許してくれ……』


 門が閉まる時に、クロスの声が聞こえた。



♢♢♢


 

 黒い稲妻が、辺りに落ち、黒い柱が天を貫いていた。


『ユウ、お帰り……』


「ああ、ただいま……」


 門から出たオレは、真紅のフルプレートを着ていた。鎧は、血が流れているように、脈打っている。創造を超える、知識に力がわかる。


 アイスを球体の結界を張り、自分の手首を切り結界に血を流すと、アイスの中に流れていく……


「コレで大丈夫だな……」


 アイスの、顔色が青白い顔に赤みが増していく。


「……お前は何なんだ?」


 左腕乃浸食者が、しゃがれた声で呟いていた。


「お前を殺しに来た人間だよ……」


 背中にある、真っ赤な刀身の大剣で、左腕乃浸食者を、真っ二つにした。


「……ああ、これで……」


 最後に、一言だけ呟いた死んだ。


「ユウ、悪者の騎士みたいですね」


 アイスは、呪いが解けて傷が治り、気がついて、フルプレートのオレを最初に見た感想だった。


 真紅のフルプレートは、時間が経つと消えて腕輪だけが残った。


 リューズは、近くの草むらで震えながら、耳を塞ぎ、膝を抱えていたようで、雷の音しか聞いていなかった。


「門の中で色々とわかったよ」


『そうか……』


「クロスがやりたい事が、やっとわかったよ。一緒にやろうぜ……人助けだよな、これは……」


『そうだな、人助けじゃ。ありがとうユウ』


 クロスは、余り言わなかったが、理解して、わかっていた。

 門の中で、色々な事が頭に流れて来た……


 クロスが、なぜ魔導書なのか?

 クロスは、何をする為に異世界に来たのか?

 この、膨大な力の使い方。全てを理解した。


 昔、創造神が狂い、人々を魔物に変えた。

 当事いた、人々のほとんどが魔物になり、殺し合いの日々が続いたが、クロス達が立ち上がる。


 長い旅の末に、狂った創造神を封印したが、クロスと仲間であり、恋人のマリアが地球に飛ばされてしまい、オレの曾祖父に会った。

 神の呪いにより、魔導書になったクロスは、長い時間と魔力を使い、対抗手段を作った。


 それが、この門のようだ。


 呪いまだ、続いていた。魔物になった人々は、魔物に転生を繰り返す……クロスの目的は、創造神の呪いを解き、魔物に変えられた人々の魂を救う事。

 

 オレ達が、魔物を退治するとクロスに魂が吸い込まれて、呪いを解除する事だった。


 近くの町まで移動した後、リューズと別れたが逃げた事を最後まで泣きながら謝っていた。


 左腕乃浸食者が、死んだ事を知ったリューズによって、アメリア王国中に広がるだろう……


 クロスと旅の目的が出来たオレは、アイスに説明してから、どうするか聞いたら一緒に行くと言っていた。


「魔物倒して、旅をする! 今までとやる事は一緒ですよ! 行きます、どこまでも……」


「そうか……傷、残ってしまったな……」


 オレを庇った時の傷が、薄らとお腹にあった。


「私を傷者にしたんですから、ユウには責任を取って貰わないといけませんね」


「ああ、喜んで責任を取るよ」


「絶対ですよ」


『しょうがない、奴等じゃ……』


 悪戯っぽい笑顔のアイスと呆れるクロス、そんな事に安心しているオレがいた。

 




 



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