第13話 油断禁物だな


 地下牢の中に、結界を張りリューズから詳しい話を、聞く事にした。

 左腕乃浸食者さわんのしんしょくしゃについて、リューズから色々と聞いた。


 アメリア王国ができる前から、遺跡に主人として君臨していた。魔法を吸収する真っ白な肌に、空間を腐らせる左腕、超力なジャンプ力を持つ逆関節の足。まさに、化け物がふさわしい生物。


 ギルドでは、接触禁止生物に指定しているらしい。


「接触禁止生物なんてきいてないぞ、どうしてこうなったんだ?」


「もしかして、職員さんの話を聞かなかった、からだったりして……」


 オレとアイスは、気づいた。アイスが、説明すると言い、聞かなかった事に……つまり、アイスのせいになる。


「す、過ぎた事はしょうがないですね、魔法が、効かないなら、逃げましょう」


「そういえば、何で、騎士団が遺跡に来たんだ?」


「大丈夫なのか? 結界ってゆうのは、生きた心地がしないのだが……」


 スケルトンとゾンビの軍団が来たが、自動で光属性のフォトン・レイが出る様している。

 光の粒状のレーザーが、魔物達を粉々にしていた。


「だ、大丈夫みたいだな。二ヵ月前の事になるか、遺跡の主人から、言葉を話すオークがやって来て、王国をオークの大群で攻めると宣戦布告が来たんだ」


 あれ? クロスが、極位魔法で二ヵ月前に、オークを全滅させたような……


「何でも、凄腕の魔道士が、一撃で全滅させたようだ……危機は、去ったと喜んだよ」


 あ〜、クロスだな。確か、プロメなんとかで地形ごとやった、あれだな。


「だがな、次は、ドラゴンを送り込み。王国を火の海にすると、宣言してきた」


 まさかな、プレートマウンテンのブルードラゴンじゃないよな。


「奴等は、プレートマウンテンからブルードラゴンを送るから、覚悟しろと言って来たが、ドラゴンは現れなかった」


 間違いなく、クロスが皇竜波でやったあと、ステーキにしたヤツだな。


「そして、一月が過ぎた時、地獄の門を何処かに開くと、言ってきた。騎士団は、遺跡でゲートを開くと考え、遺跡に攻めたんだ」


 これは、魔女の森にあったゲートだな。あれも、左腕乃浸食者の企み、だったんだな。


 意図せずに、全ての作戦をオレ達が潰したようだ。


「あの〜、これって全部、私達がやったヤツですよね」


 流石にアイスも気づいたようだ。


「2人共、どうしたんだ?」


「実はだな……」


 今までの事を、リューズに説明した。


「それは誠か。貴方達は、王国の救世主だ!」


 感激したリューズは、オレとアイスの手を交互に握っている。


「ゲートの心配がないなら、退却しましょう。これで、亡くなった兵士達も、うかばれます」


 魔法で雑魚モンスターを退治しながら、遺跡の前にある、広場まで来た。


「油断禁物、逃げる時は危ないんだ」


「そうですね」


「さすがですね。強くても、驕らないとは……」


 三人で、小声で話ながら移動する。


 その時だった、バンっと何が後ろで、落ちる音がした。


「「「?」」」


 振り向くと、目が四つに、ミキサーの中に刃物がついたような口、全身が白く、左腕が異様にデカい、逆関節の足の化け物がプシューーと言っていた。


「「「ギャャアーーーー!」」」


 オレ達は、同時に叫ぶと、化け物がビクッと驚いていた。


「逃げるぞ! ブラスト連射だ!」


 地面に魔法を叩き込み、砂煙で目隠しをしながら走る。


バンーーーードンッ!!


 ジャンプした時に地面はへこみ、回り込んできた。


「なんだ、この匂いは…。」


 鼻が曲がる程臭い。よく見ると、歩いた地面から煙りが出て、何か腐った匂いがする。


「生ゴミは、燃やしてやる!」


 手から火炎放射器のように、魔法を出すが当たると同時に、皮膚の表面が波打ち、効いているように、思えない。


「お前達、逃げれると思うなーーーー!」


 デカい左腕を、大きく振りかぶると殴りかかってきた。


「あぶなっ!」


 攻撃をかわし、オレの後ろにある壁を殴ると壁は煙りを出しながら、ドロドロに溶けていた。


「次は、洗浄だーー!」


 ウォターカッターやスプラッシュ等の、水魔法をぶつけまくる。


「アイス、今だ!」


「凍って下さい。ダイヤモンドダスト!」


 地面ごと、辺りを氷結させる。


「冷凍完全だな」


「かなり、焦りました」


 気づいたら、オレ達は冷汗でびしょびしょになっていた。


「コイツは、一体何なんだ?」


 気になり、近づこうとした瞬間。


『ヤツはまだ、生きているぞ!』


 クロスの声が響き。氷が割れ、手を振り回すと何かの弾丸を飛ばして来た。 


「ユウ! 危ない!」


 倒れるアイスを、支える。

 アイスが、オレを庇い、腹に氷の塊が刺さっていた。






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