第11話 装備は大事だな


 Aランクになり、ギルドで新しくカードとプレートを交換してもらった。


「Aランクは、プラチナ製なんだな……」


「凄い! ユウと会ってから、トントン拍子にランクが上がって怖いくらいです」


 正直、特例でランクアップしたので実感や有り難みはない。アイスは、カードとプレートを眺めながら、嬉しそうに笑っていた


「Aランクになった、ユウさんとアイスさんは、侵入禁止エリアに入る事が出来ます。侵入禁止エリアは、知ってますか?」


 ギルドのお姉さんの質問に、オレは分からなかった。


「私は、知ってますが、ユウさんは?」


「?」


「そうですか。それなら、後で根掘り葉掘り教えてあげますね」


 アイスが、得意げに言うと、ギルドのお姉さんが咳払いをしながら、笑顔のまま切れていた。

 オレには、聞こえた「いい加減にしろよ、お前ら……」とゆう、心の声が。


 アイスの説明によると、侵入禁止エリアは、ギルドが冒険者の情報を元に、新しく見つけた未到達エリアを発見した場合、国の軍隊や大規模な冒険者チームを作り、調査をする時がある。


 調査チームが、無残に全壊した時がある。その場合、高ランク冒険者に改めて依頼を出し、危険な場合は侵入禁止エリアに指定される。


「当然の処置だよな」


 ギルドの隣にある、酒場でドリンク片手に話をしていた。


「そうですね。でも、侵入禁止エリアは人が入っていないエリアなのでお宝、ザクザクなんです」


『それは、面白いな。貴重な錬金術の素材や魔導具があるかも知れんな……』


 嫌な予感がする。クロスが面白がるとトラブルにあたり予感しかしない。


「さすが、クロちゃん話がわかる〜」


『当然じゃ〜』


 アイスがクロスの話に乗り、ギガント街から一番近くにある"腐食の遺跡"に向かう事になった。


 1番近くても、3日は掛かるようなので、街で大量に必要な物を購入する事にした。


「装備を2人共、一新しないか? 結構ボロくなったしな……」


 ギガントホールでの鍛錬により、衣服や武器が痛み、汚れや穴等が目立つようになっていた。


「そうですね。何枚か欲しい所ですね」


 欲しいのは、魔導士用の装備一式になるが武器屋や防具屋の物は、余り良くない物ばかりだったので、買わなかった。


「魔導士の装備でなんで武器屋や防具屋に行くんですか?」


 アイスが当然、言い出した。


「え? 魔導士用の装備一式を、買う為なんだけど……なんか違うのか?」


「魔導士用なら、魔導士ギルドが早いですよ。今まで、どうしてたんですか?」


「拾い物と武器屋と防具屋だよ」


『魔導士ギルドなんて、あるんじゃのう』 

 

 そんなギルドがあったなんて、クロスも知らなかったようだ。


 アイスの案内の元、魔導士ギルドに来ていた。

 六芒星の看板があり、これが魔導士ギルドのマークらしい。


「かなり、デカイ所なんだな、魔導士ギルドってのは……」


 吹き抜けの3階建てで、様々な杖等の武器にローブ等の装備品、装飾品に魔導具から巻物があった。


「巻物? スクロールってやつかな?」


「高い物だから、あんまり触らない方が、良いですよ」


 洋系のRPGに出てくるやつだよな、なんか、感激だなぁ。


「スクロールが、欲しいんですか?」


「いや、いいよ。クロスがいるし、クロスなら、スクロール作る事できるんじゃないか?」


『出来るぞ』


 当たり前のように、言うよな。こいつ….


 オレには、魔導士の装備について、どれが良いか分からない。クロスに2人分の装備を選んでもらった。


 アイスは、デザインを重視しているようで、クロスとオレには、分からない話をしていた。

 オレは機能重視で、全体的に黒い装備になったが、なかなかいい。魔力循環律? がいいとクロスが言ってた。


 アイスは、青と白のデザインで見た目は、清楚なお嬢様って感じになった。


 購入後、ショーケースの中に、何故か気になる、赤いガントレッドと指輪があった。


「なんだろ、気になるんだよな……」


『コレは……ユウ、気になるか』


「分からないけど、コレを見てたら……懐かしいような、苦しいような……不思議だな」


 自分でもよくわからが、異様に引き寄せられる感覚があった。


「すっごい高いんですが、買うんですか」


「うん、欲しいな。買うかな……」



 残金の全てを使えば、ギリギリ買える金額だったが買う事にした。


「アイス、コッチに来てくれ」


 会計をしている間に、アイスが色々と見ていたので呼んだ


「どうしたんですか?」


「コレやるよ、アイスの方が似合うしな……」


 ガントレッドと一緒にあった。青い宝石が付いた指輪を渡す。


「こ、これは!」


 指輪をオレを交互に見ながら、にんまりと笑っていた。


「なんだろ。オレは、アイスが付けていた方が、いいと思うんだ」


「わかりました。はい! ユウが、薬指につけて下さい」


 手を差し出し、オレが指輪を着けるのをアイスは、待っていた。


「そうか……ピッタリだな」


 魔法なのか、アイスの指に指輪はピッタリだった。


『ユウ、よいのか? 左手の薬指に指輪なんて紛れも無く、結婚指輪じゃないかのう……』


「ああ、地球の話だろ」


『いや、結婚指輪はこちらでも、左手の薬指だぞ』


「え?」


 嬉しそうに、左手の薬指にある指輪を眺めるアイスがいた。


「まっ、いいか。 恋人だし……」


『お前が、そのガントレッドを……マリアのガントレッドを買うとは……』


「クロス、なんか言ったか?」


『いや、何でもない。あのままだと、アイスが大変な事になるぞ』


 指輪を、眺めながら歩くアイスは、前方の階段を見ていなかった。


「アイス〜! 前ーー! 前ーー!」


 買い物を済ませた、オレ達は腐食の遺跡に向かった。腐食の遺跡で、この世界の真実を知ることになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る