第25話 ストレス解消は重要だな

 

 冒険者が集まる酒場で、オレ達は次に受けるクエストや行く場所について話をしていた。


「お疲れさまっす。アイスさん、あっ、彼氏さん」


「アイスさん、お疲れ様です。どうも、彼氏さん」


 色々な冒険者がアイスに挨拶に来ていた。


「みんな、キチンと挨拶が出来るようになりましたね」


 笑顔で挨拶を返すアイスに、他の冒険者は明らかに怯えていた。


 ギフターブが、心配しながら耳打ちしてきた。


「コレは、不味くないだろうか? 俺とリクとソラなんか、認識されてないよー」


「オレもアイスの付属品、扱いだしな」


 オレ達は、アイスの暴走を止める為に宿屋の広めの一室を借りて、話し合いをする事にした。


「アイスか最近、凶暴化しているからどうしたらいいか、みんなで考えようー」


「ユウ? 本人を前に良く猛獣みたいな扱いが、できますね」


 指をバキボキ鳴らしながら、アイスが笑顔で言っていた。


「ほら、出会った頃のアイスなら、『そんな事を言うなんて酷いです』って言う場面だろ。指を鳴らしながら笑顔で脅すのは、おかしいぞ」


「俺達とあった時は、ソラとリクに近い感じだったが、今じゃ冒険者崩れのチンピラみたいだ」


 オレとギフターブの意見に、アイスも考えた後に、冷静に言った。


「最近、妙にイライラするんですよ。自分でもおかしいんですが……我慢できないんです」


「アイス、妊娠した……」


「おめでた?」


 双子の言葉にオレの時だけが止まった。


「ちゃんと、あります!」


 双子の言葉にアイスが、バンと机を叩いた後、赤くなりながら椅子に座り直した。


『はっ! まさか、アレか……』


 クロスが突然、何かに気づき考え込んでいた。


「どうしたんだ? クロス?」


『すっかり忘れていたが、たぶん煙霧の白の影響だろう』


 コイツは、また後出しジャンケンみたいに言いやがって!


 クロスの話によると、クロスが"不評なる者達"があるように、グラディウスには"憤怒の魂"とゆうバットスキルがあるそうだ。


 クロスはパーティー全員に効果大のサポートをするので、バットスキルの影響もパーティー全員だか、グラディウスのパーティー効果は小さい。


 所有者のサポートが大きいのでバットスキルの影響も所有者だけだそうだ。憤怒の魂は、ストレスが2倍になり、狂暴化しやすくなるそうだ。


「ストレスってなんでだ?」


 アイスが、涙目で怒っていた。


「イチャイチャをユウが、禁止したからです。我慢したのに、何にもないし……ユウのせいです」


 言われてみたら、前に人前ではやらないと言ってから、アイスはおかしくなっていた。


『そうか、欲求不満が溜まっていたんじゃな……ユウが悪いのう』


「ソラやリクにもオレだって、キチンと向き合っているんだぞ……ユウが悪いな」


「アイスが可哀想。ユウが悪い……」


「人で無し、ユウが悪い」


 パーティーメンバー全員から、オレは非難された。


「わかったよ! アイス、デートに行くぞ」


「本当ですか! デートなら、イチャイチャしますよ!」


「わかった。今日はアイスのやりたい事を、全てやろう」


「やったーー!」


 大喜びのアイスを見て、罪悪感を感じていた。

 オレは、アイスにこんなにストレスを感じさせていたのか……


 アイスに服を買う為に、いい感じのかわいい洋服屋でアイスが服を、ファッションショーのように着ていた。


「どうですか? 似合いますか?」


「うん、似合うよ。お姉さん、コレも下さい」


 似合う服をオレは買いまくっていた。


「いいんですか? こんなに、買っても!」


 店員のお姉さんが、何十着も買うので不安になり、焦っていた。


「大丈夫です。オレ、コレなんで……」


「Sランク冒険者! 初めて見ました」


 冒険者プレートを見せると店員は、納得した後に、稼ぎ時と判断してアイスに新しい服を勧めるようになった。


「いい買い物をしたな……」


「今日のユウは、最高に優しいです」


「次は、どこに行きたい?」


「じゃあ……」


 アイスは照れながらホテルを指、差していた。


「イヤイヤ、アイスさん、服を買ってすぐホテルはないだろう? 普通は、最後に行くだろ」


「ユウは、どこでもイイと言ってた、じゃないですか!」


「まだ、昼前なの! 御休憩するにも、腹が減ってるの!」


 アイスが、考え込んでから言った。


「じゃあ、私は、性的にユウを食べますから、ユウは気にせず、ご飯を食べて下さい」


「なんなの、童貞でもそんなにがっついてないんだよ! わかったよ。とりあえず、御休憩にしような」


 御休憩どころか、それから次の日の朝までプレイは続いた。


 次の日〜


 艶々したアイスと対象的に、やつれたオレがいた。


「大丈夫か? サキュバスに、精気を吸われたヤツみたいだぞ」


 心配そうなギフターブに、オレは掠れた声で答えてやる。


「サキュバスに、転職したのかもな……」


「利子がついた……」


「ご利用は計画的に」


 双子に言われて、豆にアイスのストレス解消をしないと大変な事になると理解した。


 ギルドに行くと、他の冒険者達やギルド職員達が騒いでいた。


「見ろ! まるで、女神のようだ! 昨日までのあの禍々しいオーラがないぞ!」


「よかった。生きた心地が、しなかったんだ」


「アイス様、女神のよう……」


 ストレスが解消されたアイスは、しばらくご機嫌だった。






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