第17話 噂は厄介だな


 馬車の中で、最初はどうなるかと思ったが、予想外にギフターブは善人だった。


 ギフターブにはアメリア王国での出来事を所、誤魔化しながら話をした。ギフターブも、色々な事情を話してくれた。


「そうか、アメリアは不審な動きがあったが、災難だったな。俺もフラン聖王国って国にいたんだが、内乱で大変な事になってな、リクとソラは、フラン内乱での戦争孤児をだったんだ」


「ギフターブは、運命の人……」


「私達の全てを捧げる人……」


 相変わらず、無表情の双子はギフターブに、くっついて話していたが、今までの行動からギフターブに取り付いた悪霊の双子にしか見えない。


「懐いてくれるのは、嬉しいがコイツらは、年頃の女の子だ。俺みたいな、根無し草ではなく、しっかりとした奴と添い遂げて欲しいもんだ」


 ギフターブは、双子の頭を撫でながら、兄のような優しい目で見ているが、双子はニタァと笑っているので、呪いの人形に見えてきた。


 スペルの首都オーリアに着くとギフターブ達もギルドで山賊の引き渡しと、仕事をするらしいので一緒に行く事になった。


 ギルドに着くと、オレたちを見た冒険者達が騒ぎ始めた。


「アレを見ろよ。黒と白の双子って事は、ロリコン神父ギフターブと鬼姉妹だぜ」


「マジかよ。確か、山賊や犯罪者をボコボコにするわ。魔物の群れを撲殺しまくってるって噂のかよ」


「神父のギフターブは、姉妹を調教して、性奴隷にしてるって噂だしなぁ」


 ギフターブを見ると、涙目になっていた。そうだな、お前については完成に噂だもんなぁ。


 冒険者の噂話は続いた。


「隣の奴らは、まさかジェノサイドバカップルじゃねか?」


「聞いたぜ。なんでも、惚れた弱みをいい事に女に、公衆の前で恥ずかしい事をさせてるって話だよな」


「そうそう、露出プレイの黒魔道士ユウだろ。魔物だろうがなんだろうが、怖い物なしの変態魔道士で、捕まえて山賊を馬車に縛り付けて引き回した外道らしいぞ」


 おい、アイスが勝手にやってる事だし、山賊は本当だが、酷い話になっている。


 ギフターブを見ると、自分と同類で周りからの目が酷い事に気づいたらしく。肩に叩きながら一言だけ言った。


「世間は冷たいな……」


 静かに山賊の賞金を受け取りに行く、ギフターブの背中には、哀愁が滲んでいた。


 賞金を受け取ってきたギフターブが、オレ達に提案してきた。


「2人共、仕事を受けるんだろ? 馬車であったのも何かの縁だ。パーティーを組まないか? 俺達もAランクなんだ」


 ニカッと笑いながら、ギフターブが服の下にあるプレートを出した。


「アイスは、良い人……」


「私達は、歓迎」


「私も、ソラちゃんとリクちゃんなら、大歓迎ですよ」


 完成に双子に手玉に取られたアイスは、双子がかわいい女の子に見えているようだ。


『ワシの事は、トップシークレットじゃぞ。しかし、いい機会じゃ。組んでもいいぞ』


 クロスは、基本的に他人がいたら話に参加しない事にしているらしいが、どうしても話したい時は、念話で参加する。アイスとオレにだけ聞こえるように、伝えてきた。


「じゃあ、よろしくなギフターブ」


「そう来ないとな、実はなダンジョンがあるんだよ。この街にはな……」


「美味い奴は、いるのか?」


「えっ?」


 オレの質問の意味がわからなかったらしく、ギフターブは、止まっていたが、オレ達の旅には、美味い物が欠かせない。金だけでは、不十分だ。


「確か、暴れ茸ってキノコに、キラーバードがいたな……」


 キノコに鳥肉、塩味の鍋がシチューかな?


「ダンジョンは、暑いのか寒いか?」


「少し、寒いかな……」


「よし! シチューを食べに行こう!」


「シ、シチュー?」


 オレの発言がわかない、ギフターブにアイスが教え始めた。


「私達は、基本的に美味しい物を食べる為に旅をしています。最近だと、ドラゴンのステーキ、ミノタウロスのステーキ、宝石クラブの蒸し焼きを食べましたよ」


「凄い、高級食材だな……」


「とりあえずダンジョンを全滅させるか、毒や不味そうな魔物は売れば良いしな!」


 オレ達はシチューに必要な食材を買うとダンジョンに行った。


「なんなんだ。コレは?」


 ギフターブの前には、アイスとオレから、様々な魔法の光が飛び交いながら、魔物が死に、消える現象が広がっていた。


 最近は、慣れてきたのか3種の魔法を同時に放つ事が出来るようになった。ブラスト、フォトンレイ、チェイサーを今は放っている。


 チェイサーは壁や地面を高速で移動しながら、敵を自動で追尾する魔法で、サメが背ビレを出して獲物を追いかけるのに、似ている。

 何より、属性を自由に付加できるから、使い勝手が良かった。


「何で魔物が消えてるんだ?」


「倒したそばから、ユウが収納魔法で回収してるんですよ」


「マジかよ……毎回こうなのか?」


「魔物を生かしておく理由がないからな」


「そうだな……俺も参戦するよ。回収を頼む」


 ギフターブが、水晶のような玉を大量に投げると、玉は浮かび魔物を貫き始めた。


「すげ〜な、その玉」


「俺は、宝玉使いだからな、宝玉を自由自在に操れるんだ。ソラ! リク! もし、魔物が抜けたら倒してくれ」


「「わかった……」」


 ダンジョンの最下層にいた魔物を3人で全滅させた後、結界を張り、鍋でシチューを作った。


「美味い! ユウは料理が上手だな」


「最高……」


「美味しい……」


 ギフターブ、リク、ソラは、シチューに大喜びだった。


 材料は山のようにある。具沢山のシチューをみんなで食べながら、酒を出して宴会をした。


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