第26話(バレたチート)

結果は8対8。イーブンだ。スカイはオズに状況を聞く。


「この場合どうなるの? 延長戦?」

「スカイのバカ! 何やってんのよ、もう!」


オズはご立腹だ。


プレーヤーはフィールドに戻ってきた。すると、スカイに個人用ボイスチャットが来る。


「強いですね。チームサドルの主将のサトルです。今年こそは優勝したかったけど、そう簡単にはいかないですね」

「どゆこと? 戦績はイーブンじゃん」

「知らないで戦ってたんですか? フレンドリーファイアは、0.5人扱いですよ。つまり僕らの負け。7.5対8。オズと愉快な仲間の勝ちです」

「まっ、マジか……ドキドキさせやがって」

「君達が次に当たる〝ミルク〟ってチームには気を付けて。セコい手を多用する」

「戦い方にセコいも何もない。突撃あるのみ」

「ハンドルネーム、スカイ君。試合を楽しんでるのが伝わってきたよ。しかし、ミルク戦は君が思ってるような、楽しい戦いは出来ないかも知れない」

「どゆ意味?」

「ミルクは3人固まって、スナイパーライフルと手榴弾しか使わない。新人潰しが狙いだ」

「こっちの戦い方に引きづり込んでやるよ」

「君らは飛び抜けてる感じがする。もしかしたら優勝出来るかもね。では」

「情報ありがと。必ず優勝してやるよ」


オズがスカイの挙動を見て声を掛ける。


「スカイ、誰と話してるの?」

「去年の銅メダリストだよ」


スカイはチームの皆にサトルから仕入れた情報を伝えた。


「そんな連中、捩じ伏せてやるわ。後でフレンドリーファイアの件について話し合いましょうね」

「オズ部長、なんか怖い、アハハ」

「まあまあ、部長。落ち着いて。後、1勝で本選ですよ」

「流石シード。もう本選か。もっと戦いたい」

「優勝に近付くんだからいいじゃないか。スカイ君、贅沢な悩みだね」


スカイはなんとなく、カミユが緊張してるように感じた。オズもそれを汲み取り、チームを鼓舞する。


「取り敢えず、次勝てば1日挟んで決勝トーナメントよ」


佐久間はリザーブだが、本選に出るだけで寿命が数年分上乗せされる。15歳問題が吹き飛ぶ。


「皆、頑張ってね」

「うん、任せて。佐久間先輩」


すると、また個人用ボイスチャットが来た。女の声だ。


「ねえねえ、君がスカイ君?」

「そうだけど。なんか用?」


(ファンでもできたかな)


「話したい事があるんだけど」

「次の試合までに済ませてね」

「〝スカイ君、チート使ってるでしょ〟」


スカイを現実に戻す絶望な一言だった。

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