第22話(エイエイオー)

スカイは部室に戻る。


「スカイ、遅い」

「わりぃ。ちょっとメールが入っちゃって」


スカイは佐久間にコーラを渡し、カミユに緑茶を渡す。そして、オズにコンポタを渡した。


「ゴチになりま~す」


佐久間はそう言ってコーラをがぶ飲みする。


「ありがたく飲みなさいよ」


スカイとカミユもタブを開けて飲む。オズはコンポタの缶を振ってる。ミックスジュースは甘酸っぱい。


「スカイ、今から最終調整するわよ」

「ハイリミットのテーブルで戦う?」

「違うわ。基礎の確認よ」

「今更~? オズ部長、何言い出してんの」

「応用力を鍛え直すのよ。ちゃんと基礎を学べば更に強くなるわ」

「りょ~か~い」

(ウォーパークのチュートリアルはやったけど、麻酔銃の説明とかなかったな。他にも知らない事が。基礎を学べば強くなる…………面白そうだ!)


スカイ達、4人はウォーパークにログインする。オズからボイスチャットが来た。


「皆、集まって。私がテーブルを作っておいた。私達しか入れないプライベートテーブルよ。自動で入れるから」

「りょ~か~い」


スカイは、パッと一軒家のステージに移る。4人だけのステージ。


「スカイ、制限時間は30分。基礎的なテクニックを教えるわ」


ーーウォーパークは前後左右斜めに移動しながら射撃をすると命中率が落ちる。銃口を敵アバターのやや上に向けて撃つとヘッドショットしやすい。平地で銃口を水平リセットのやり方も教わる。スタート前の銃の選び方等も。ここで麻酔銃の選択も出来る。後は正面に集中しつつ、視線を散らして隠れている敵を見付ける方法も。


最後の5分は模擬戦をする。スカイと佐久間チーム対オズとカミユチームだ。


『3、2、1、スタート!』


スカイはカミユの狙撃をかわしながら、屋内に入る。突撃してきたオズと乱打戦になった。スカイはオズをヘッドショットしたが、腹に被弾した。

(相討ちだが、反応速度は俺のが速いな)


ーー結果は4キル対5キルでスカイ達の負け。スカイ個人は3キル1ダイ。佐久間は4回キルされた。


「皆、撤収よ」


スカイ達はログアウトして現実世界に戻ってきた。


「ふう…………疲れた」


カミユは飲みかけのお茶を飲む。スカイも釣られてミックスジュースを飲む。オズはコンポタを一口飲んだ。


「明日から3日間はウォーパークにログイン出来ないけど、スカイはGLにもログインしちゃダメだからね」

「分かってる。脳を休めないとね」

「佐久間とカミユ君は今夜0時まで自主トレ」

「「分かりました」」

「ジュニアオリンピック優勝よ!」


オズは片手の甲を出す。


「エイエイオーとかやるの? アハハ」

「そうよ」


カミユと佐久間も手の甲を重ねる。スカイも手の甲を重ねた。


「いい? 皆。私達は強い。必ず優勝するわよ。…………オズと愉快な仲間達、ファイアー!」

「「ファイアー!」」

「ふぁ、ファイアー」


スカイはノリに着いて行けなかった。

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