第21話(後輩らしいこと)

ーースカイは一日の授業を終え、サッカー部の部室へ行く。皆、揃っている。オズとカミユはGLにログインしてた。


「お疲れー」

「やあ、スカイ君」


佐久間は饅頭を食べながら、センターモニターを観ている。


「2人は戦ってるの?」

「そうだよ。ハイリミットのテーブルでね。スカイ君もモニターを観て。2人対50人のハンデ戦だ」

「まさか、オズ部長とカミユ先輩は2人で50人を相手にしてるの?」

「その通り」


ウォーパークはヘッドとハートを撃ち抜かないと一撃死できない。しかし、麻酔銃で腕や脚、胴体を狙えば敵は数分間、無防備で戦闘不能となる。カミユが敵をスタンさせ、オズがトドメを刺していく。


「オズ部長とカミユ先輩は凄いな。格が違う」

「チッチッチ。一番将来性があるのは、スカイ君だよ。GL依存症をこれ以上、進行させなければね」


10分ほどでオズとカミユがログアウトする。

(たった2人で700キル…………出来る!)


「カミユ君、ちょっと休憩ね」

「分かりました」


佐久間が2人に向けて、饅頭が入ったビニール袋を差し出す。


「2人とも、お饅頭食べます? 糖分は脳のガソリンですよ」

「要らないわ」

「僕も要らないよ」


佐久間は次にスカイの方を見た。スカイは察する。


「俺も要らない」

「皆、連れないね~。特にカミユ先輩は食べないと。ガリガリだと長生きできませんよ」

「それより、喉が渇いたよ」

「じゃあ俺が何か買ってこようか?」


スカイはたまには後輩らしい事を言ってみた。学園の昇降口には自販機が何台が置いてある。


「私がお金出すからスカイ、買ってきて」


オズはバッグから財布を取り出して、スカイに千円札を渡す。


「皆、何がいい?」

「僕はコーラね」

(佐久間先輩らしいな、アハハ)


「僕はお茶なら何でもいいよ」

(カミユ先輩は渋いな。いぶし銀な人だ)


「私はコンポタ」

「コンポタぁ~? アハハ」

「何よー。またビンタするわよ?」

「すまんすまん。行ってきま~す」

(冗談を言い合えるくらいに俺達は仲良くなったな)


スカイは昇降口の自販機に着き、渡された千円札を投入する。まず、コンポタとコーラを買う。

(カミユ先輩はお茶なら何でもいいって言ってたから緑茶でいいな)

スカイは緑茶を買う。そして自分のやつ。スカイはテキトーにミックスジュースを買う。お釣はなし。1本250円だ。これでも、学園の自販機はかなり優遇されてる。


スカイは4つの缶を持とうとした時、ピコン。腕時計型ウェアラブル端末にメールが入った。ロボットのゆうこからだ。


【ゆうこです。ワンちゃんはお好きですか?】


「犬? 捨て犬でも拾ったかな」


スカイはスクリーンを立ち上げて返信する。


【ワンちゃん大好き。俺が面倒見てやる】

【ありがとうございます。汎用人型回復ロボットとして頑張ります】


スカイは、ゆうこの真意を確認せずに、パシりを続ける。

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