ギャンブリンライフR ~earth the end~

ルク穴禁

第1話(犯罪直樹)

ーーギャンブリンライフとは、バーチャルリアリティワールドであるーー


しかし、普通のバーチャルリアリティとは違う。人口爆発を抑制するために作られ、他人の寿命を奪い取ることが出来る。寿命がタイムオーバーすると心不全を起こし、死となる。15歳になるとエントリーができる。この時、世界政府から平均10年分の余命が支給される。15歳までの行いによって支給される寿命に差が出る。


買い物やサービス等の支払いは寿命を売るか電子マネーで対価を払う。勿論、寿命のが価値が高い。


底辺労働者は朝から晩まで働き、僅かな寿命を報酬として得て、その日暮らしをしている。


ギャンブリンライフには一発逆転を狙う連中で溢れている。元来、日本はギャンブルの国だ。土壌があり、バーチャルリアリティゲームが活発だ。




ーー2人の男がGLで賭けをするか揉めている。2人は焦っていた。最近、失業したからだ。2人の寿命は数日、135時間程だ。自宅のリビングで考え込む。


「死にたくない! 死にたくない!」

「落ち着け! GLで一発逆転だ。それしかない」

「無理だ…………。まだ37歳。他に方法は」

「寿命銀行から借りるか?」

「担保になるような物が無い」

「家がある」

「こんなボロ家に大した価値はない。良くて3日だろう。しかし、住所を失ったら新たに職に就けなくなる」

「犯罪…………」

「嫌だよ。僕はGLで稼いでくる」

「止めはしない。俺はガキの誘拐計画を思い付いた」


男はGLにログインする。マッサージチェアの様な筐体に座り、延髄から伸びるプラグを筐体に挿して、ヘッドマウントディスプレイを被る。


GLはあらゆるギャンブルや対戦ゲームで寿命を得ることができる。……勝てれば。


GL内のフィールドは1~1万まであり、1つのフィールドが六角形になっている。シューティングゲーム、ロールプレイングゲーム、格闘ゲーム、シミュレーションゲーム、スロット、ルーレット、カードゲーム、将棋、囲碁などのあらゆるゲームが賭けの対象となっている。他のプレーヤーに賭けてもよし、本人がプレーヤーになるのもよし。


男は、勝てそうなテーブルを探す。サイコロ丁半なら勝てる確率は50パーセントだ。やるか? やらないか? 男は意を決して丁半のテーブルに着く。ロボットのアバターがディーラーだ。


『お客様、何を賭けますか? 仮想通貨、現金、電子マネー』

「寿命だ。全部賭ける」


その一言に周りはどよめく。


「君、本気かね」

「底辺か」

「死んだな」


『丁半のテーブルは100時間分の寿命からとなっております』

「分かった。半だ、半に全寿命を賭ける」

『では参ります』


ディーラーは、壺にサイコロを2つ入れてシャッフルして台に置く。パカッ。


「来い! 半! まだ死にたくない!」


『ピンゾロの丁!』

「終わった? まだ死にたくないよー! 何かの間違いだよー!」


男はドキドキしながら手のひらを見る。


「後8秒……」


7、6、5、4、3、2、1ーー。

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