第4話(サッカー部)

スカイは、始業式までの間にサッカー部の部室を様子見に行く。昇降口でメルと別れて渡り廊下を通る。スカイは学園祭で来たことがあるから大体分かる。


サッカー部の部室に着くと、ドアをノックするのが空振りとなる。ガチャ!


「あああ! 何でだよ!? もう少しで勝てたのに! クソッタレ畜生!…………君、誰?」


メガネをかけた、見るからにサッカー選手とは思えないガリガリに痩せた男が出てきた。


「新入生だ。サッカー部の部室はここか?」

「おおー! 新入生か~。早速、案内しよう」

(この人はマネジャーかな? 女子マネジャーが良かったな)


スカイは当然、グラウンドを見に行くのかと思ったが、痩せた男は部室の中から手招きする。スカイが部室に入ると筐体が4台、水平対向に並んでいた。奥の方に太った男が椅子に座っていた。


「これってまさか…………」

「GLの接続機だよ。4年生のカミユだ。宜しくね」


「マジ? 新入生?」


「こっちの太った男は3年生の佐久間(さくま)。もう1人いるんだ。部長、どこ行ったんだろ?」

「サッカー部がたったの3人?」

「今から4人になったよ」

「待て! 俺をカウントするな」

「大丈夫だよ。サッカー部とは名ばかりにGLでプロゲーマーを育てる訓練所だから」

「カミユ……先輩。15歳以下がGLにログインするのは条例違反じゃ」

「君は閉鎖的な所で育ったのかい? それとも親は公務員? 今は12歳からログインできるよ。さすがに15歳にならないと、賭け事はできないけどね。ここで訓練してプロゲーマーになれば、将来安泰だよ。ところで君の名前は?」

「飯田スカイだ」

「宜しくね、スカイ君」

(逃げよう。………………いや待てよ? ゲームして生活ができるなんて夢のようじゃん。ちょっと様子見だな)


スカイは教室へ行く。1年信長組だ。この学園の組はアルファベットや数字ではなく、歴戦の戦国武将の名が冠されている。今年の1年生は信長組と家康組の二組だけだ。


ツヨシ、ヨウヘイ、ミノル、メルは窓際で固まっていた。


「4人とも、何やってんの?」

「だってよう。俺達以外は他校出身だぞ」


ツヨシはビビってる。


「コミュニケーション、コミュニケーション」

「皆、スカイ君の言うとおりだよ。いつかは打ち解けなくちゃいけないし」


ミノルは度胸があることを言える女の子だ。

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