第5話(魔性の部長)
すると、1人の女子生徒がスカイ達に話しかけてきた。
「あなた達ね。被災地区から来た人。どうやって震災を回避したの?」
スカイは重苦しくなる空気を払いのけて答える。
「俺は飯田スカイ。焼き肉パーティーをしていたら難を逃れたんだ。君の名前は?」
「私は桜子(さくらこ)。宜しくね。他の4人は?」
「私は木瀬木メル。宜しく」
「木瀬木? もしかして親が漫画家じゃない?」
「よくわかったね。一発屋だけど」
「夫婦で作画とストーリーを分業してるのよね。〝カジノのない豪華客船に乗る意味ある?〟って作品を全巻持ってるよ」
「ありがとう。身近にファンがいて良かった」
次にミノルが自己紹介をする。
「私は近山(ちかやま)ミノル。代々農家をやってるの」
「近山で農園と言ったら大農園じゃない」
「大農園か分からないけど、そこそこ広い敷地だよ」
次にツヨシが答える。さっきまでビビったが前例ができ、気を良くして饒舌になる。
「俺は合田(ごうだ)ツヨシだ。親は建築会社をやっている。水没した街を2ヶ月で復興した建築会社だ」
「凄い凄い。シメの君は?」
ヨウヘイが答える。
「僕は殿岡(とのおか)ヨウヘイ。親は寝具メーカーの取締役だよ」
スカイ達は、なんとか打ち解けてきた。
「皆セレブね~。ところで部活は決まった? 弓道部に入らない?」
「俺は野球部だぜ」
(ツヨシは野球が好きだったな)
「じゃあ、僕も野球部に入ろうかな」
(ヨウヘイは、ツヨシに付いてばかりだな)
「弓道部か~。面白そうだね。ミノル、一緒に入らない?」
「メルが入るなら、私も入ろうかな」
「スカイ君はもう決まった?」
「サッカー部だよ」
「嘘でしょ? サッカー部の噂知ってる?」
「この眼で見てきた。GLに早くから慣れ親しんでおこうと思って」
「eスポーツなんてハイリスクローリターンだよ? 本気?」
「強くなれば、ローリスクハイリターンだよ、アハハ」
キンコンカンコン。ホームルームの時間が始まった。スカイ達の担任教師は頼りなさそうな女だ。
「皆さん、席に着いてください」
ーーホームルームで、スカイ達5人も他の生徒と打ち解けられた。スカイは父親が連合軍のレンジャーで、サッカー部に入ると言うと皆は驚いていた。
ーー始業式が終わり、スカイはサッカー部の部室に行く。
「やあ、スカイ君。本気でGL部に…………もとい、サッカー部に入るかい?」カミユが後ろから声をかけてきた。
「入るよ。宜しく」
「じゃあ早速GLにログインしてみよう」
カミユはスカイの腕を掴み、部室に入る。
「えっ、いきなり?」
スカイは戸惑う。GLにログインしたことなどない。心の準備が出来ていない。
「痛くないから大丈夫」
「そういう問題じゃなくて……」
「部長、新入生を連れてきました」
1人の女子生徒が筐体に座りながらタブレットをいじってた。
「あなたが1年生の飯田スカイね? 話は聞いてる。私は3年生の柊(ひいらぎ)オズ。サッカー部部長をやってる。宜しくね」
「宜しく」
(美人だ。魔性を感じる。黒髪ロングに透き通るような白い肌)
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