第32話(踏んだり蹴ったり)
ーー本選2回戦。スカイ達の相手は〝フリーダム〟というチームだ。ステージは長方形の枠で片側半分が砂漠で遮蔽物は殆どない。もう半分は鬱蒼としたジャングルだ。
フリーダムは強い。スカイ達は常に主導権を握る戦いぶりだったが、フリーダムの1人にスナイパーライフルで撃たれ、早々に佐久間がダイになる。カミユが狙撃で応戦して2人をキルした。すると、運良くスカイ達の近くにボックスが現れた。
「佐久間、スカイ君、ボックスに入れ! 逃げきりだ!」
「「了解!」」
スカイ達は各々、ボックスに入った。このまま行けば、2対1で勝てる。しかし、スカイは。
(狭い…………狭い所怖い…………)
スカイは誘拐事件のトラウマで閉所恐怖症になっており、当時の事がフラッシュバックした。スカイは逃げるようにボックスから出てしまった。パーン! スカイはヘッドショットされた。2対2になった。
スカイを援護するためにカミユと佐久間がボックスから出る。フリーダムはその隙を逃さず、2人をヘッドショットした。
ーー結果は3対6。スカイ達は負けた。
スカイ達は現実世界に戻ってくる。カミユは必勝と書かれたハチマキを取り、床に投げ付けた。
「クソッ!」
「スカイ君、どうしちゃったの? 敵の前に出るなんて」
「狭い所が怖い………………」
スカイは震えながら押し黙る。
「スカイ君は悪くない。悔しいけど相手が一枚上手だっただけさ」
重苦しい空気の中、監査員のトウコはスカイ達を労う。
「皆さん、お疲れ様です。優勝とはなりませんでしたが、寿命5年は手に入りますよ」
すると、サッカー部のドアが開く。
「ここがサッカー部の部室か~」
「ツヨシ……?」
「あなたもGL部の部員?」
スカイは必死の思いで、ツヨシにシッシッと手を振る。ツヨシはその態度にカチンときた。
「スカイ! せっかく応援しに来てやったのにその態度はないだろ!」
トウコは違和感を覚えた。
「君は上級生?」
「1年生だよ。な、スカイ」
(ツヨシ! 余計なことを!)
「1年生って高校?」
「スカイと同じ中学だよ。それが何?」
(ツヨシ! 一生恨むからな!)
「どういうことかしら、スカイ君? 何かの冗談よね?」
「そ…………それは…………」
スカイは頭が回らない。カミユがフォローに入る。
「僕が無理やり入部させたんです」
「スカイ君、プラグを見せなさい」
トウコはスカイの背後に回り、プラグを見る。サバ読みチップを取り外された。スカイの全身に電撃が走る。
「じゃあな、スカイ」
(ツヨシ……なぜ今来た!? 誰の差し金だ?)
「これはサバ読みチップじゃないかしら? 大人を騙そうなんて。減命は免れませんからね」
「すみません! すみません!」
カミユと佐久間は頭を下げる。
「謝って済む問題じゃないわよ。大会組織委員会とGLに報告させてもらいます」
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