第7話(コビッド19)
ーーコビッド19の慰謝料支払いを起因にNATO加盟国と中国が戦争を起こした。最初、中国は上手く立ち回っていたが、誤算が生じた。同盟関係にあったロシアが裏切った。それにより、中国は中国でなくなってしまった。勿論、日本はこの戦争もカネを出しただけで、血を流していない。日本は世界中から大バッシングを受けた。
ーースカイはヘッドマウントディスプレイを外す。カミユはそれを持つ。
「スカイ君、クリアはできなかったけど、ブラフに気付くとはね。眼が良い」
「そう?」
オズは手に持っていたタブレットをテーブルに置く。
「スカイはロールプレイングよりシューティングゲームが合ってるわね。でも、いきなり蹴るなんて現実でやってはダメよ」
「面白かった。もっとぶっ壊す感じのヤツある?」
「あるけど、お祭りは? 行かなくていいのかい?」
「あっ! 忘れてた。じゃあ、お先に」
スカイはプラグを外して蓋をする。チクっと痛い。
スカイは急いで家に帰る。メルはもう浴衣に着替えて玄関で待っていた。
「スカイ、遅いよ~」
「部活が楽しくて。5分で支度するから待ってて」
「もう」
スカイは自室のクローゼットから浴衣を取り出して着替える。
スカイの部屋に母親がやって来た。手元には札が3枚。
「スカイ、頼みがあるんだけど」
「何? 母さん。手短に」
「3万円あげるから、1万円でお惣菜買ってきて。残り2万円はお小遣いね」
「ありがと。でも1万じゃ、ろくな物が買えないよ」
「仕方ないけど、頼むわ」
「分かった~」
ーースカイとメルは仲良く祭り会場へ行く。ヒューーーー………………ドドーン! 夜空に大輪の花火が煌めく。
「打ち上げ花火なんて年1回観られれば良い方ね」
「俺は雷が観たいな。雲から雲へ走る稲妻とかカッコよすぎる」
「私には理解出来ない。怖いだけだもん。流石は雷電為右衛門の子孫ね、フフフ」
「関係ないよ、アハハ。本当に雷電の子孫か今度、カケ造じいちゃんに聞いてみよ」
「私、焼きそばが食べたいな」
「買えるかな。たこ焼きのが安いよ」
「ケチらないケチらない、フフフ」
ーースカイとメルは川沿いの神社に着く。子供と金持ちの大人しか居ない。それでも賑わってる。
スカイは屋台を見渡す。
「くじ引きがある。1等はスカイラインGTRのプラモか」
「お金の無駄だよ。1等が当たる確率は良くて2パーセントね。トイショップで買った方が安いよ」
「よし、やめておこう」
くじ引きの屋台の隣に焼きそばの屋台があった。店主は気っ風の良い客引きをしていた。
「安いよ、安いよ~。ワンパック1万円だよ~。さあ、買った買った」
「屋台のおっちゃん。高くない? 去年は5000円くらいじゃなかった?」
「坊や、生言っちゃいけねえ。寿命支払いなら30分だよ。子供からは寿命が取れないし、値上げしなきゃ死んじまう」
「分かった。1つ買うよ」
「私が半分出すね」
スカイとメルは焼きそばを買い、花火が見易い土手に向かう。すると、ツヨシとヨウヘイが前から歩いてきた。
「ツヨシ、ヨウヘイ」
「よう、スカイとメル。これ見ろ」
ツヨシは1つの箱を見せた。
「おいおい…………。これはくじ引きの景品1等じゃないか!? 当てたのか?」
「まあな。すぐ帰って、このプラモを組み立てないと」
「いいな~。ヨウヘイは何を当てた?」
「僕は、6等のチョコレートだよ」
「じゃあな。メル、スカイ」
「花火は観ないのか?」
ツヨシとヨウヘイは答えず、行ってしまった。突然、スカイは人混みの中で手を引っ張られた。
(メルじゃない! 誰だ!?)
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