第13話(保健室送り)
スカイはカミユに聞く。
「そのチップをプラグに着けるの? 痛くない?」
「そうだよ。チクっと痛いかもね、ハハハ」
「それを着けると、具体的にどうなるの?」
「年齢だけ15歳になるよ。GLを出し抜く事が出来る。後ろ向いて」
「不安だな~」
「大丈夫大丈夫」
カミユはスカイのプラグの蓋を開ける。
「本当に大丈夫?」
「一度自分で試してる。安心して。着けるよ」
カチッ。スカイの全身に一瞬、電流が走り、意識が飛ぶところだった。
「スッゴい痛いじゃん!」
「ハハハ、これで優勝間違いなしだね」
「知らないわよ」
「スカイ君もエントリー可となった事だし。部長、作戦を確認しておきましょう」
「私が突撃。カミユ君は遠距離支援。スカイは中距離で動いて。以上」
「それだけ? もっと綿密に練った方が良くない?」
「スカイ君は知らなくて当然だね。ジュニアオリンピックの予選本選は毎年、複数のステージが作られて、その中からランダムに戦場が決まるんだ。GLの公式発表だから間違いないよ」
「それなら、作戦なんて大雑把でいいか。もう15歳問題なんか吹き飛ぶね」
「でもバレたら寿命剥奪よ」
「大丈夫ですよ、部長。スカイ君は12歳にしたらガタイ良いし、そもそも下にサバ読みするのがマズイ」
「ふぅ~…………仕方ない。これから1ヶ月間、一日30分の特訓よ。責任は私が取る」
ーーその日、スカイはオズの家にあった使ってないGL筐体を1機貰い、自宅に設置した。
スカイは2階の自室で毎日、ウォーパークをプレーする。一日2時間もプレーする。オーバーワークなのは重々承知。スカイは早くオズに追い付きたかった。接近戦はハンドガンじゃ火力不足。遠距離戦はスナイパーライフルじゃ連射出来ない。スカイは中距離戦のアサルトライフルが合っていると実感する。オズはスカイを消去法で中距離にした訳じゃない。総合的な特性を見抜いて選んだ。
ーースカイはオーバーワークを続け、3万キルを超えた次の日に、授業中に教室で意識を失い、ぶっ倒れた。
スカイが気が付くと、保健室のベッドで横になっていた。メルが手を握っていた。スカイは指先を動かす。
「スカイ、意識が戻ったのね。良かった~」
「メルか。急に意識が飛んだ」
「軽度のGL依存症だって。もう、何やってるのよ。心配させないで…………!」
「済まん、メル」
「一日どれくらいやってるの?」
「20分くらいだよ」
シャン! とカーテンが開く。白衣を着たケバい女が入ってきた。
「一日20分な訳ないでしょ。保険教諭の華子(はなこ)よ。もし、12歳で中度以上のGL依存症を発症したら人間に戻れなくなるわよ。正直に話しなさい」
「えーっと…………1時間くらいかな?」
「全く。飯田スカイ、しばらくはGLにログインしないことね」
(嘘を吐こう。どうせ自己申告だ)
「はーい、分かりましたー」
「嘘ね。嘘を吐くのは依存症の特徴よ。本当は数時間はやってるでしょ?」
(くっ! お見通しか)
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