第17話(実戦前)

スカイは部室で佐久間から貰ったドーナツを食べてると、オズとカミユが入ってきた。


「あーもう、ドキドキしたわ」


オズは少し憔悴している。サバ読みチップがバレたら人生がオジャンだ。


「いいかい、佐久間、スカイ君。監査員が居る間はスカイ君は3年生という事だからね」

「りょーかーい」


スカイは軽い返事をするが、チートで大会出場は大博打だ。


「この作戦の要はスカイよ。今から30分、ハイリミットで特訓ね。ハイリミットは大人ばかり。しかし、大会にエントリーした他校のチームと当たる可能性がある」

「俺が軽くノシてやるよ」


スカイ達、4人はGLからウォーパークにログインする。佐久間は観戦だ。他の3人はテーブルの前に立つ。スカイにオズからボイスチャットが来た。


「スカイ、あなたの戦績に1ダイってあるけど、いつ負けたの?」

「一昨日だったかな~?」


スカイは内心ドキッとした。ダイになったのはプレー禁止されてる時だ。


「全く。あれほどオーバーワークはダメって言ったでしょ」

「ほんの数分だけだよ」

「まあまあ、2人共。それより部長、テーブルを決めてください」

「仏の顔も三度までだからね」

「りょーかーい」

「……3対3のテーブルが多いわね」

「大会シーズンですからね。大体他校生でしょう」

「ここからはスコアをクローズにして」


オズは他校生に手の内を知られないための対策を打った。


「ところで皆は何で初期アバなの?」

「スカイ君、下手にアバターをいじらない方がいいよ。狙い撃ちされるし、大会ではアドバンテージウェポンも使えないし」

「囮になるよ。連合軍のユニホームは俺のアイデンティティーだ」


スカイは亡くなった父親の手向けに今できることを真剣にやろうと考えていた。


「スカイは中距離なら自由にやっていいから。私とカミユ君でフォローする」

「分かった」

「部長、17連勝中のチームがエントリー待ちですよ」

「時間は20分。合計キルが15回制。手頃ね。エントリーするわよ」


パッと、スカイの視界が切り替わる。一軒家のステージだ。スカイが初黒星を付けられたのと同じ。


「やられる前にやる…………先制攻撃だ」


『3、2、1、スタート!』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る