第16話(大会ルール)
ーー次の日の昼。スカイはテストのために登校する。昨日一日はGLにログインしてない。身体が軽く感じた。
テストは14時から。眠くなるタイミングで行われる。
(変だ!)
スカイが教室に入ると、クラスメートがスカイの事を心配していた。後遺症はないかとか、色々。スカイは「覚醒するよ」とテキトーな事を行って詮索されないようにした。
ーーテストが始まった。歴史問題はスカイの不得意分野だ。雷電為右衛門しか知らなかった。スカイが通う学園はクラスに、織田信長や徳川家康などの名前が冠されているが、スカイはすっかり忘れていた。スカイは頭をひねる。
(昨日覚えた事を思い出せ!)
他のクラスメートは真剣だ。タブレット端末をタップする音が煩い。スカイはウォーパークの事で頭がいっぱいだ。eスポーツのオリンピックとか楽しみでしょうがない。大会まで後6日だ。
スカイはそれなりに粘って、何とか歴史上の偉人を35名、書き出した。
(よく頑張ったほうだ)
「はい、そこまで。タブレット端末の電源を落とさないでね。……では、1位を発表します。えーと、飯田君が、105点で1位ね。やるじゃない」
「マジか! 産まれて初めて1等を取った、アハハ」
「先生、嘘だろ? 俺だって頑張ったぜ?」
「ツヨシ。余韻に浸らせてくれよ。ジェラシーなんてみっともない」
「な、何だと!?」
前の席からツヨシが掛かってくる。
「2人とも、やめなよ」
スカイの隣のメルが止めに入った。
「身体を動かさねえGL部に負ける気がしねえな!」
「腕力だけが全てじゃない。知能の差を見せてやるよ!」
「この野郎……!」
売り文句に買い文句だ。スカイが徒手空拳の構えをした時、章子先生の雷が落ちる。
「喧嘩はやめなさい! 落第にさせるわよ!」
ツヨシは渋々、自分の席に戻った。
「はーい」
「はいはい」
「スカイ。最近、丸くなってきたと思ったけど、やっぱり変わらないね」
「何で、メルが拗ねてるの」
「知らない」
ーースカイはサッカー部の部室へ行く。佐久間だけがいた。
「やあ、スカイ君。ドーナツ食う?」
「佐久間先輩、そんな物ばかり食べてると更に太るよ」
「糖分は脳のガソリンだよ」
「今時、ガソリンなんて表現は古いよ、アハハ」
「じゃあ、アンモニアかな?」
「アンモニアエンジンは航空機くらいだな」
「話変わるけど。昨日はGLにログインしなかったみたいだね。部長が言ってたけど、今日から2日間は最終調整で、大会までの3日間はログインせずに脳を休めるとの事だ」
「予選から優勝まで何戦すりゃいいの?」
「抽選にもよるけど6~8回だな。1試合4分で、より多くキルしたチームが勝ち上がる。僕の15歳問題を頼んだよ、スカイ君」
「荷が重いな、アハハ。そういえば、他の2人は? 大事な時なのに」
「組み合わせの抽選で職員室に行ってるよ」
「そっか。オリンピックの会場はどこ? 京都? それとも外国?」
「ここだよ。別に移動しなくても、GLに繋がれば問題なし」
「そりゃそだね」
「但し、大会期間中は監査員が見張るみたいだけどね。くれぐれもサバ読みチップのボロを出さないでくれよ?」
「大丈夫だよ。GLに俺が15歳だって誤魔化し効いてるから」
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