第3話(学園へ初登校)
ーー南海トラフ大地震の影響で街は壊滅状態だ。多くは津波にやられた。そして、復興が始まった。ツヨシの親は大きな建築会社の社長だ。2ヶ月ほどで街はすっかり元通りになった。
ーースカイ、メル、ツヨシ、ヨウヘイ、ミノルの5人は同じ学園に進学した。全校生徒1200人ほどの中高一貫校だ。しかし、卒業式、始業式は簡易なものとなった。皆、喪に服す。
スカイは初登校日に支度をしていると、メルが迎えに来た。スカイはデニムにパーカーという出で立ちだ。メルは花柄のワンピース。
「おはよう、スカイ」
「おはよー。いつでも行けるよ」
2人で川沿いを歩き、学園に向かう。メルは、スカイに気を遣い、誘拐事件の事は話題にしない。
「ねえ、スカイ。今夜、お祭りがあるでしょ。一緒に行かない?」
「復興祭か。いいよ。どうせ暇だし。父さんが生きてたら、今頃、バージニアに居たのにな」
「ペンタゴンね? おじさん、早く見つかるといいね」
「大震災から2ヶ月以上経つよ。生存は絶望的。慎ましく遺族年金で暮らしてる」
「スカイのご先祖様が空軍のトップだったのよね。スカイも将来、連合軍に入るの?」
「そのつもりだよ。ってか、まだ生きてるから、ご先祖様って呼び方は何か変」
「そうね。スカイの遠い祖先は雷電為右衛門なんでしょ?」
「どうかな? あやふや。十両以上、関取になれば寿命に困らず生活できるね」
「スカイは背が高いけど力士には向いてないよ。学園に相撲部ってなかったと思うし。サッカーがいいんじゃない? 足が速いし」
「そうか! サッカー部に入ろう」
「単純ね」
スカイとメルは数分で学園に着く。盛大に……とは言えないが、上級生が新入生を歓迎してくれている。
「野球部はどうー? 野球部はどうー? 君、部活は決まってる?」
上級生の勧誘だ。スカイは次のように返す。
「いや、サッカー部に入るつもりだから」
「サッカー部!? 本気か? 夢を見るより、身体を動かした方がいいよー」
(何言ってんだ、コイツ)
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