第15話(ロボットのゆうこ)

スカイは2階の自室に行き、GLからウォーパークにログインする。

(マジで30分でやめておくか)


『飯田スカイ様、15歳ですね。自由にテーブルをお選びください』

(ちゃんとサバ読みチップが機能してるな)


「ハイリミットのテーブルは?」

『エントリー可能です』


スカイは初めてハイリミットでプレーする。どんな猛者がいるかワクワクしている。


パッと、スカイの視界が切り替わる。一軒家のステージだ。狭いし、バトルロイヤル形式だからキル数を稼ぐには丁度よい。


『3、2、1、スタート!』


スカイは2階の一室からスタートだ。


「さて、敵はどこかな~?」


パーン! スカイの後頭部に激痛が走る。


「後ろからやられた!?」


スカイの視界の中央に【ダイ】と出た。

(初めて負けた…………。撃たれると痛みを感じるのか。これが、バーチャルリアリティゲーム…………)


スカイは後頭部に鈍痛を感じながら、これはヤバいと思い、ログアウトした。ベッドへダイブして眠りに付く。


ーー次の日の朝、スカイは夢現だ。


「父さん? 生きてたのか。心配かけやがって。むにゃむにゃ…………」

「おはようございます、スカイ様」

「なっ! なんだお前は!」


スカイはまだ夢現だ。眠気眼にぼんやり映る白い人形。


「私は、ロボットのゆうこです」


スカイは目を擦りながらよく見る。そこにいたのは人間そっくりな女型ロボットだ。


「何でロボットが居る!?」

「私は、カケ造様からの贈り物です。キュアー専用ロボットです」

「何!? ビームサーベル出せる?」

「ですから、私はキュアー専用ロボットです。戦闘用ではありません」

「そうか。大会まで1週間しかない。回復を頼む」

「脳機能に問題はありません」

「GL依存症は治った?」

「いえ、完治はしてません」

「で? 何で居る?」

「お目付け役です」

「監視か。カケ造じいちゃんが動くほど、GL依存症はヤバいって訳か」


ーースカイはリモートで授業を受けるが、心ここにあらずだ。ボーッとしてしまう。GL依存症の影響だ。教師の喋り声が良いBGMとなり。


「飯田君…………。飯田君! 起きなさい!」

「おおう」

「リモートだからって、リアルタイムで繋がってるんだからね」


「「「ワハハハハハハ」」」


教室がどっと沸く。キンコンカンコン。


「じゃあ今日はここまで」


「「「ありがとうございました!」」」


「飯田君は補習ね」

「章子先生、そりゃないぜ」

「明日までに歴史上の偉人を30人覚えなさい」

「無理だよ~」

「明日はテストよ。義務教育で留年なんて不名誉は嫌でしょ? GLで調べるのはダメだからね。早速取り掛かりなさい」

「は~い」


スカイはリモートを切り、タブレットで歴史上の偉人について調べる。


「クラスメートに差をつけられるのは嫌だな。よし、ちょっと頑張るか」


その日、スカイは必死に勉強した。第二次、第三次世界対戦は有名人が多い。ここに当たりを着けて点数を稼ぐ算段だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る