2020年6月17日
寝室で横になっていると窓の外からグーホーホーという鳩の鳴き声が聞こえる。子供の時分、この鳴き声は梟かなにかだと思っていた。夜らしい不思議と寂しい鳴き声だ。
なんだか眠れそうにないのでパッと目を開けて、冷蔵庫の茶をグラスに注いでベランダに出る。鳴き声の主が見えるかと思ったけれど、薄暗い夜に位置の程も判然としない。人通りもないのに電灯が点々と灯っていて、夜中ずっと光っているのを思うと、ご苦労さまと呟いた。
ちょいと散歩でもしようと思って、簡単に着替えて外に出た。湿気もあまりなく涼しい、毎日こういう夜だったら良いのだけれどと思う。
少し行くと、夜の人間が珍しかったのか、たぬきに犬に猫にマムシにといろいろな動物があとをついてきてちょっとした集団になった。せっかくだからバンドでも組んだら面白かろうと思うのだが、何しろ私はDTMしかできないようなやつなので、セッションとなると、なんとなく気持ちを乗せてノイズを出す、程度のことになり、たぬきのドラミングや、マムシのベースラインが作ってくれるグルーヴに乗っかるだけのやつになってしまう。
鳩のやつはこういうときにも何処ぞでグーホーホーと言ってるだけで、無関心を貫き我々の行進にも加わってくれる気配がなかった。
せっかくついてきてくれた動物たちに何かお礼をしたいと思って、深夜三時のセブンイレブンで、チョコミントアイスでも買おうと思ったのだが、店の灯りを見て皆サッと何処かへ消えてしまった。
チョコミントアイスを食べながら川を眺めていたら、チラチラと光を反射している箇所以外は真っ黒で、なんだか墨汁が流れているようだなと思った。
家に帰ると鳩の鳴き声も聞こえなくなってシンとしている。夜中の動物たちと一緒に写真を撮ったら良かったなどと今更思ったが、きっと嫌がって逃げてしまったろうと考えて納得することにした。
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