2020年4月13日
雨が降っている。昨夜の夜から強い雨の音に耳を傾けて、コーヒーを飲んでいた。こういう日は音楽と止めるのも良い。白い紙に向かって私はうんうん唸っている。ミニチュアパンダのリモンがあくびをしてベーコンを齧っている。
雨の日の夜から朝に移行するなだらかな時間の流れを感じながら、少し肌寒い空気を楽しむ。アーロンチェアのお尻が冷える。白い紙から逃げるように本を紐解く。程よい眠気が私の頭に薄布をかける。
朝6時くらいに寝落ちるようにテーブルで眠ると、リモンと鳳仙が私をベッドまで運んで、着替えもしてくれたようだ。朝起きると二匹ともベッドの中で丸くなっている。私も眠るときは丸まるので、ベッドはとても狭い。でもこの狭さが落ち着くようで良い。
お昼すぎに起きてベランダに出てお味噌汁を飲む。寝たときとあまり変わらない外の暗さに不思議と安心感を覚える。晴れた日の素晴らしい開放感や予感は良いと思うが、私はこういう暗くて寒い雨の日のほうが好きなのだ、内省的で、叙情的で、心地よい寂しさがある。夏の快活さよりも冬の寂寞のほうが好きだ。厚い布の重さを体に感じ、マフラーで首元をぐるぐるに巻くのが好きだ。だから今こうやって寒い日が来ると、冬がまだ行かないでいてくれるようで喜びを感じる。
昔友人の女の子と、新宿で一緒に歩いていたとき、彼女は傘も差さずずぶ濡れでタバコを吸っていた。ナルシシズムがかさぶたを撫ぜるような快感を齎したのだろう。非常に楽しそうであった。結局彼女はその翌日風邪をひいたと笑っていた。私は服が濡れるのが嫌だったから真似はしなかった。
雨の日のトーマス・ベルンハルト。
昔フランスにいた時分、殆ど家で本を読んだり、ゲームをしたりして過ごしたことを思い出す。銃夢が大好きなフランスの友人が貸してくれた家。半年はワイン造りのバイトをして、もう半年はそのお金で遊んで暮らす。今とそう変わらない。ベトナムとカンボジアで数ヶ月過ごしたときもずっとホテルで本を読んでいた。そのときはユイスマンスの著作をたくさん読んだ。
結局今日も何もせず一日が終わった。悪い日ではなかった。
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