2020年4月5日

 私のお気に入りの基礎化粧品ブランドはAesopで、ボディソープ、シャンプー、リンス、コンディショナー、洗顔料、トナー、セラム、フェイシャルクリーム、ボディバーム、リップクリーム、ハンドクリーム、ハンドウォッシュに至るまで全部統一している。キールズなども試したが化粧水がピリピリして合わないなどもあり、見た目の良さと香りの良さ、肌や髪への乗りの良さが気に入っており、また月に一度のニュースレターでは、文学、建築、アートなどの様々なペダンティックなテキストがなかなかおもしろいのも良い。


 2月のニュースレターではイタロ・カルヴィーノの名が読書の項目と建築の項目の二箇所で見られる。私の大好きなイタリア人作家で、今はもう亡くなってしまっているけれど、その短編や中編の多くは独創的で前衛小説と古典のいいとこ取りのような内容となっており、小説が好きな人なら誰でも楽しく読めること請け合いだ。もし未読なら是非手にとって見て欲しい。まずは『むずかしい愛』『レ・コスミコミケ』『冬の夜ひとりの旅人が』あたりがおすすめである。


 まあ、カルヴィーノの話は置いといて、そんなわけで私は入浴が好きで、Bluetoothスピーカーを風呂に持ち込んで、iPhoneで音楽を流しながら、いつも1時間程度は入っている。私の名も「湯好き、風呂最高」から取って「柚木呂高」としており、風呂は私の生活のクレッシェンドの一つであろう。


 クレッシェンドと言えばカレー作りもそうである。昨日はヨーグルトとガラムマサラを漬けておいた手羽元と、冷蔵庫の奥で忘れそうになって痛みかけていたほうれん草を使って、チキンサグカレーを作った。音楽を聴きながら調理をするのはやはり良い。音楽がないと作業になるが、酒と音楽があるとひとつのイベントのようで楽しい。生姜をちょっと強めに効かせてやったらこれが非常に好みの味付けであった。


 そんなカレーも今日でおわりなので、カレーがそこそここびりついた鍋にご飯をえいやっと入れて、ゴムベラで縁のカレーをこそぎ落とし、火を加えながらよく混ぜ、ギーと塩コショウとで味を整える。それを木皿によそって、チーズをかけて炙り、フライドエッグを乗せ、パセリを散らす。このよくわからないめしがとても好きで、これの為にカレーを作っていると言ってもいいくらいである。


 なんでこんな話をするかと言うと、日々の生活が本当に特に何も起きないので、風呂とめしをイベント化することで正気を保っているからである。

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