トーキョー瘋癲日記
柚木呂高
2020年4月3日
葉桜になって、その下は花びらが側溝を覆っている。そのそばにはたんぽぽが咲いており、それもまた花びらに埋まっている。
私はコンビニに中本のカップ麺を買いに外に出ていたのだが、店内のおむすびはたぬきが食い荒らしていた。カップ麺、特に辛い麺は食えないようで、中本のカップ麺は被害を被らずに済んでいた。おかげで私は当初の目的を果たすことができた。
川沿いの道は三叉に分かれており、真ん中は休憩所が設けられ、その先は行き止まりで川の真ん中となっている。私はこの場所が好きでよく来てはMacBookを開いてものを書いたり読んだりとして遊んでいる。
帰り道、その川沿いを歩いているとたぬきの親子が休憩所で屯している。私は興味をそそられてそこに腰掛けたが逃げる気配がない。こりゃいいと思って魔法瓶に詰めたお湯をカップ麺に注ぎ、たぬきを眺めながらめしを食うことに決めた。
五分経って上蓋を剥がし、辛味油を入れてよくかき混ぜる。そしてズルズルと音を立てて食べ始めると、初めてたぬきがこちらを見た。互いに目が合い、暫くそうしていたが、においからして食えるような辛さではないと察したのか、あくびをひとつすると再び寝そべってしまった。
私は行儀が悪いのでTwitterをしながらめしを食った。こういうスキマ時間にTwitterやらソーシャルゲームやらをするから、思索の時間がなくなって、どんどん脳が衰えていくのを感じる。昔はいつだってずっと何かを考えていて頭の中がいやに喧しかったが、今はもう石ころをひょいと投げたって音のひとつもしやしない。
そんなことを考えていたらたぬきがツナマヨおむすびをくれたので食った。辛いものを食べた後のツナマヨは口に残った幸味を緩和する効能があることで有名だ。それを知っているたぬきが私に施してくれたのだろう、いいやつだ。お礼に120円置いといた。次にコンビニを利用する際はそれを使うんだぞ。
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