2020年6月2日

 脳の病院に行って診察を受けた。ここの先生は本当に嫌なやつで、口を開けばまるで患者でストレスを発散するかのような失礼なことを言うから、私はかなり嫌いだ。そんな気分を紛らわすために診察後の昼食はタイ料理屋に入った。


 パッシーユとカオ・ソーイとチューチープラーをさんざん迷って、結局チューチープラーラッカオにフライドエッグを合わせて注文する。ジャスミン茶を飲みながら、家を出る前、居間の床に転がっていたので持ってきた中上健次の『水の女』を読んでいた。ぜんたい、嫌いではないが、『鷹を飼う家』は結構好きだった。


 カップが汗をかいて、その雫がひたりと手の甲に落ちると、ふと軽く冷房がかかっているのに気付いて暑い季節になってきたなぁと思った。暑い季節は余り好きではなくて、その快活で開放的な雰囲気自体は楽しいと思うのだけれど、結局暑いのが嫌で、総じて夏が嫌いなのだ。


 夏の天ぷらは好きなのになぁ、と思った。はもに鯛の白子、みょうが、枝豆、とうもろこし。


 帰り道、本屋で何か適当に買ってやろうと思って寄ったのだけれど、レジが長蛇の列を成しており、店員さんが最後尾の札を掲げて列を案内するほどだったので幾つか本の表紙を撫でるだけして外に出た。


 嫌いなものは、心をざわつかせるので、身近に幾つか置くと良い。それが如何にも生きている感じがしてきて、自分の心が鉛のようになっていないことを確認できるようで喜ばしい。凪いでる時間よりも、私は腹を立てていたいと思ったりするのだ。

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