文章がとても綺麗で登場人物達の動きや描写にも一切違和感がない。けれど引き込まれるようなSFと主人公の愛情や葛藤といった繊細な心理描写。とても素晴らしい作品でした。涙腺が崩壊しました。もっと評価されるべき作品だと思います。一気読みするのにもそんなに時間は掛からないので是非読んで欲しいです。
両手でかき集めて、指の隙間からこぼれ落ちていくもの。 私は、この小説をこういうものだと感じた。 元に戻せるなら、やり直せるのなら、その期待と羨望に読み進めた先にある世界の現実は、しかしあまりにドライで、それ故にリアルでもある。 愛する人か、世界か、という両天秤のその手の中に、たった一ヶ月という、時を隔てた恋人たちのなけなしの光。 現在——いま——を生きる者と過去に生きる者との、想いと決意の行く末を、どうか未だ見ぬ読者にも体験して欲しいと思う。
ある日、主人公の光輔の元に、10年前に死んだはずの恋人、沙織の名前でメールが届く。さらに、彼女は高校三年生の姿でこの世界に現れて……。決して知られてはいけない事実。世界の崩壊。果たして、光輔と沙織の選んだ未来は──。タイムスリップものですが、登場人物が少なく、文章もきれいで非常に読みやすかったです。沙織の妹の雫ちゃんが健気でよかった。応援したくなってしまう!一部に深く突き刺さる、というよりは、誰が読んでも高確率で面白いと思えるような作品だと思いますので、何か恋愛ものを読みたいなーと思っている方はぜひ!
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