hello world～この世界に住む人々へ～

　――ハロー、ワールド。今日は6月15日。夏が来たと実感できる日和。これから話す事は、いつもと同じ。今日どんな事があって、何を感じたか。誰かが聞いていてくれると信じて、今日の物語の始まり、始まり――

　静かな町に、そんな放送が響いている。決して明るい声ではなく、どちらかと言えば暗い少年の声。放送で街中に届けるにしては少し相応しくないように思える。何の目的があるのか、何の意味があるのか。それは私にだけは何となくわかる。声だけを頼りに、私はその街の中心へと歩みを進めた。


※作者が5年前から暖めていた渾身の作品です。最低限、最初の1話(プロローグ)を読み終えて頂くことをお奨めします。
あまり明るいお話ではなく、どちらかと言えば悲劇の色が強い作品です。
そういった作品が苦手な方はご注意ください。