概要
拭い去れぬなら、せめて、やさしくありたい。
決して抜けぬ片刃の剣を握る一人の女。彼女は、何かを求めて旅をしている。
ゆく先々で出会う人の、そのかなしみに触れたとき、彼女の剣はそれを喰らって牙を剥く。
人の血と怒りと悲しみを吸うその剣が、彼女のそれを喰らい、救いをもたらす日は来るのだろうか。
ゆく先々で出会う人の、そのかなしみに触れたとき、彼女の剣はそれを喰らって牙を剥く。
人の血と怒りと悲しみを吸うその剣が、彼女のそれを喰らい、救いをもたらす日は来るのだろうか。
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- ★★★ Excellent!!!殺したものを殺しても傷は癒えぬ――せめて、泣け《剣よ》
傷を癒すという伝承の残された《いたどりの剣》――それを携えた女剣士が北の大地に現れる。
彼女はセキトウと名乗る。セキトウは吸い取った痛みと血潮の数だけ、等しくひとを裁き、悪を斬る。神に奉上するように舞を踊り、歌を口遊みながら。
北の大地はいま、略奪と侵略と、それにともなう痛みに満ちていた。
もともと彼の地に暮らしていた北の者は、細やかな恵みに感謝し、日々の糧を超えるものを欲することもなく穏やかであった。だが突如渡来してきた南の者が、この地に数多の武器をもたらした。武器をもった北の者は、南の者に煽られるがままに争いを始め、気がつけば南の者にすべてを奪われていた。
北の者は、南の者に虐げられた…続きを読む