第25話 次女の夢 1

 現在19才の次女が看護師になるための勉強をしています。

 昨年4月に看護高等専門学校に入学しました。今、2年生で卒業できたら准看護師になれます。

 その後に正看護師になるためにもう2年学校に通って国家試験に受かれば正看護師になれます。


 何故、次女は看護師になる道を選んだのか?


 小学生の頃に、どうしてウチは貧乏なの?

 自動車もあるしグランドピアノもあるのに家はボロいマンションなのは何故?とよく聞いてきました。

 ママがピアノの先生だって友達に言ったらすごいお金持ちって言われたよ。

 なんで貧乏なの?


 次女にはそんなに貧乏な生活をさせているとは思っていなかったのですが、周りの同級生に裕福なお子さんが多かったのかもしれません。


 もしかしたら毎日朝ごはんにバナナやヨーグルトを食べたかったのかもしれません。(その頃たまにしか買えませんでした。今は買い忘れなければ毎日食べています。)


 気が付けばいつもお金持ちになりたいと言っていました。

 お金持ちになったら人を招いても恥ずかしくないマンションに住みたいし、自分1人の部屋が欲しいと言います。


 毎週、回転寿司に行きたいとも。

 要するに次女の夢は「人並みの裕福さ」です。


 高校生になると、「どうすればお金持ちになれるの?」と聞くようになりました。

 何故ウチが貧乏なのか?はもう隠す年齢でもないので、ハッキリと

「パパの収入がよそのお父さんよりもかなり少ないからよ。」と教えました。

「ママが働き過ぎたらパパは働かなくなったことがあるから諦めてね。」

 と言うと妙に納得していました。

「まぁ、パパだもんね。」みたいな感じです。


 その次女は高校時代は運動部に入っていましたが2年生の途中から部活を辞めて、お金がもっと欲しいからアルバイトをしたいと言いました。

 高校生のお小遣いの相場をよく知らないのですが、毎月5千円を渡していました。洋服などは別で買ってやるのです。

 でもそれでは足らないと言うので、アルバイトを許可するとちょうど冬休みだったのもあり、あっと言う間に15万円程稼ぎました。


 高校卒業後の進路を決める際に1番儲かる仕事に就きたいと言うので看護師を勧めました。(ちなみに県内で有名なお勉強できない高校)

 やりたいことが無いのなら安定して仕事がある看護師が良いと勧めました。


 看護師になったらきっとボーナスがあるよ。

 と言うとボーナスって何?


 私は就職したことが無いし、夫は就職したのは50才ですし収入が低いのでボーナスなど一万とか二万円程度です。娘には聞いたことある言葉というだけで、わからなかったようです。


 とりあえず、家族の中で1番稼げるし、人から尊敬される仕事だからやりたいことが無いならチャレンジしてみたらどう?

 という言葉に乗っかって看護師への道を歩み始めた次第です。


 ここからがさぁ、大変。入学して半年足らずで

「ママー、やっぱり看護師は向いてないから学校辞めていい?面白くないわ。」


 その時は、なんとか説得して続けさせましたがその4ヶ月後に再び、

「向いてないからやっぱりやめる。いいでしょう?」

とひつこく言い、

 夫は、「そうかぁ、やっぱり向いてないと思ってたよ。辞めたいなら仕方ないね。次女ちゃんには無理だと思ってたんだよね。」

 と言いました。

 夫は自分も大学を1ヶ月で行かなくなり辞めています。


 私は娘にブチ切れました。(本当は夫にも)


 「学費をいくら支払ったと思ってるの〜!!!

 向いてないかどうかなんて入学して半年でわかるもんですか!!!


 甘えるのも大概にしなさい!!!」


 私は娘が遊びを優先させたいだけだと気が付いていました。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る