第4話 初めてのデートで。
超軽いイケメンの夫と出会った時、一番気になったのは職業でした。もしかして、ひもをしながら女のところを渡り歩いているかもしれない、という風貌でした。
仕事は、「イラストレーターでイラスト関係の講師もしている」とのこと。
とても意外に思いました。講師ができるようには見えなかったのです。
実際に専門学校のトレース講座の講師をしていて一度に40人くらいの大人の受講生に教えていました。
結婚して知ったことですが、講座の前日には2時間ほど毎回の講義の準備をしていたのです。
思いのほか真面目なのだと知り嬉しかったという良い思い出です。
夫は、初めてのデートを三択にしていました。
1番、動物園
2番、図書館で読書
3番、某河川に二人で入水
全然、面白くなくて1番にしました。
初めてのデートは夫の車で動物園へ行きました。
夫と二人で並んで歩くことに私はとても満足していました。
ものすごいイケメンに選ばれた女になった感じです。
「そろそろ手を繋ごうか?」とか、サラっと言うのですが嫌な感じもせず、顔が良いおかげでだいぶ得をしていると思いました。
私的には「手を繋いでいい?」とか
「手を繋ぎたいな。」という言い方が好きです。
そろそろ手を繋ごうか?って変じゃないですか?
そろそろキスしようか?そろそろセックスしようか?って言うのかなと思いました。
ご意見お待ちしています。
動物園を出た後、河川の上流がある山へドライブしました。山道へ入ると夫は車を道端に停めました。
「どうしたの?」と聞くと
「灰皿がいっぱいで、ちょっと待って。」
と言い、車の灰皿を引き抜いて運転席のドアを開け地面に灰皿のゴミを捨てようとしたのですよ。
「駄目!やめて。山にゴミを捨てるなんて駄目!ほら、そういう時のためにゴミ袋を使うべきよ。」と車内にある夫が用意しているゴミ袋を指しました。
夫は、基本的に自分の回りが綺麗であれば良いという考え方で生きていたので、車の中にゴミ袋は準備しているけれど、それがいっぱいになったり、灰皿のように臭ったり粉塵が出るゴミは、自分とは関係のないところへ捨てるのは日常的なこと、という環境で生きていたのです。
夫はキョトンとして私を見て、
「真面目なんだね~。」と軽々しい口調で言い、灰皿のゴミを車内のゴミ袋の中へ捨てました。
「うん、山へゴミを捨てるのは良くないかもしれない。」と呟いていました。道端にゴミを捨てるのはいけないことだと知ってはいるけれど日常的に道端にゴミを捨てる環境で生きていたので、ゴミを捨てるのを止められたことがなかったのでしょうか。
思えば、これが夫を育て直した初めの一歩でした。
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