第32話 次女の飲酒喫煙事件 4

 面倒くさいなぁ‥。

 どうしようかなぁ‥。


 次女の机を眺めながら考えていました。

 すると椅子の下にレシートが落ちていたので拾いました。


 某カラオケ屋さんのレシートです。

 入店時間22時  退店時間24時 

 男性1名 女性1名

 カシスオレンジ 2

 ウイスキー水割り 2

         他


 あー、見つけてしまいました。

 これは、お酒も煙草もしない真面目なお宅に泊まりに行くと言っていた日付です。


 確かこの日のLINEのやり取りが残っていると思い探すとありました。


「泊まりに行って飲酒喫煙してはダメよ。お友達の家の人にも迷惑がかかるからね。」

 とLINEしたら返信は

「わかってるよ。てか、ひつこい!

 この子の家は誰も飲酒喫煙しないから大丈夫って言ってるじゃない!!」

 でした。

 大嘘ですね。


 片付けをしないので落としたレシートにも気が付いていません。


 これはホストの男の子と遊んだとわかりました。多分、そのままホテルに泊まったと、思われます。


 しかし、私はそこは自分のお金なら問わないです。犯罪ではないからです。


 高校生の時にアルバイトばかりしている友達がホストクラブにハマってると話していたことがありました。

 その子から楽し過ぎるから一緒に行こうと誘われたのだろうと思います。

 初回の飲酒喫煙事件の時に煙草のポーチを没収した時にホストの名刺が5枚くらい入っていました。


 これについては自分でアルバイトで稼いだお金で遊ぶならばいいと思います。でも未成年者がホストクラブに行って飲酒するとお店もホストも罰せられます。もちろん喫煙も。


 その時に知り合った男の子と仲良くなっているのかもしれませんが、それは犯罪にはなりません。


 未成年と知って一緒にカラオケに行って飲酒喫煙をしたと簡単に想像できます。これは犯罪です。そして次女がカラオケの支払いをしたのでしょう。


 誰にもバレなければ飲酒喫煙はいいという考え方は、バレなければ飲酒運転は少しならしても良い、という考えに通じていると思うのです。


 とりあえず、役に立たない夫に

「飲酒のレシートを発見しました。」とメールを送りました。


 返信無しです。

 多分、悩んでパニックになっていますが何もできないのが夫です。


 次女が学校から帰って来ました。


「カラオケでお酒を飲んだ時のレシートが落ちてたんだけど、日付がAちゃんちに泊まりに行くって言った時だね。嘘ついたね。煙草も吸ったね。」


 さすがに言い逃れができないと思ったのか、

 シュンとしてカバンを持ったまま立ち尽くしていました。


「ママを裏切ってまで、ママを犯罪者にしたいってことかな?」


 しばらく黙って考え込んだ後、

「もうこんな子要らないよね?出て行けばいい?学校辞めさせる?」


 すごく面倒でしたよ。どう収拾をつけていいのか‥。


「そうだね、2回目だしね。」


 次女みたいに家の居心地が良い育ち方をした子が家を出て1人でやっていくなんて根性がある訳もないです。


 家族がいるのに一人で家を出るような子は家庭に問題があって逃げなければ自分が壊れるという状況であるのだと思います。


「もう1年以内に20歳になるんだし、どうすべきか自分で考えてね。とりあえず外出禁止2ヶ月。家の手伝いをしても短くしないから。

 ママが入院して手術して苦しんでる時に煙草吸ってたんだね。ガッカリだよ。」


「いや、それは悪いと思ってるよ。ついママがいないから気が緩んでたけどその時一回だけだから。」


 これも嘘です。3箱あった煙草は3種類で軽い奴なんですが二箱開いていて中身は両方とも半分程減っていました。多分、私の入院中に吸っていたのだと思います。

 私も喫煙者だったので辞めることの難しさはわかっています。

 家にいる父親が煙草の匂いをプンプンさせているのにストッパーになっている母親がいなくなっていたのですから。


 親に簡単にバレるような嘘をつけるって甘いっていうか幸せなっていうか‥。

 回数の嘘は追求しませんでした。


 煙草だってもっと上手くやればバレずに吸えると思うし、カラオケのレシートだって外で捨てて帰ればいいだけの話です。


 甘いなぁとつくづく思います。(こらこら、こういう人が飲酒運転しやすいのよ。)


 夫にはあえて今回の件は報告していません。

 何も聞いてもきません。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る