第16話 夫のクズぶり6 親からお金を貰う

 結婚して6〜7年くらい経った頃でしょうか、バブルが弾けて、夫の仕事は一気に減り始めました。


夫は家に入れるお金をどんどん減らしてとうとう15万程度になりました。家賃だけで9万ですから生活費は6万とピアノ教室で稼いだ金額です。その頃はあまり生徒もいなくて合計で10万程度の生活費でした。


自営業でしたから結婚当初は毎月、退職金制度の支払いや貯蓄型保険、定期預金など、その頃はいろいろなことでお金を貯めていました。国民年金は国民年金基金にも入り将来に備えてました。


それが、バブルがはじけた頃から家に帰ってくる時間は大して変わらないのに家に入れるお金が減っていきました。


それでも貧乏には慣れていたし生活出来ていたので、気にしていませんでした。


そのうち、夫は「不景気で稼ぎが減っているから退職金制度をやめていいか?」と言いました。そして貯まった退職金制度のお金は生活費へ。その次やめたのは定期預金でした。私はその頃はまだ夫のやり方で不道徳だと思う事以外には口出しをしませんでしたから「いいよ。」という返事以外の選択肢はありませんでした。


心のどこかで夫に嫌われたくないという気持ちがあったと思います。

辛うじて貯金型保険だけは残せましたが、それ以外はすっからかんになりました。


夫の事務所で働いていた女性もいつの間にか辞めていました。製図の講師も依頼がなくなりました。


急に夫の事務所を訪ねた時のこと、製図ではなく精密な地図を書いていた時は驚きました。ただの趣味で、時間を潰していたのです。

そして、夜帰って来た時のタバコ臭さからパチンコにも行っていたと推測できました。


「金がない。」そう言いながら15万を渡してくれるので、なんとかなっていると思い込んでいました。


ところが、このお金は自分の親から貰っていたのです。事務所の家賃と駐車場代金なども。それを知ったのは随分と後になってからでした。


私は、なぜ事務所を畳まないのか?空き時間に別の仕事をしないのか?転職を考えないのか?と聞きました。


夫の答えはクズそのものでした。


事務所を畳んだら仕事が来なくなる。

別の仕事をしている隙に仕事が来たら困る。

自分に別の仕事をしろと言うのか。

お前が働いたらいい。


そして夫は家事を熱心にするようになりました。


私は、なにも言い返しませんでした。

離婚しても実家には帰れない上にピアノもやめなければならないなら、夫の親に頼りながら私がダブルワークをすればいいと思い、コンビニに卸すサラダの野菜洗い工場で朝7時から12時まで働き始めました。




 

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