第19話 プチ家出騒動 2
朝から子どもの朝ごはんの準備をして下の子を学校に行かせ、発達障害のある上の子の初めての高校登校に寄り添い一緒に準備して自分の準備をし始めた頃、夫は起きてきて準備されている朝ごはんを食べて新聞を見てテレビを見てのんびりと一人で自転車で入学式へ。
長女と私は高校からの要請を守り歩いて入学式へ。
行きたくなかった娘の入学式に出てやった良いお父さんの話を友人にしたかったのでしょうか。
朝起きてからずっと動いている私に気が付いていなかったのでしょう。
私の頭痛は軽いと思っていたのでしょう。
仕事であるピアノのレッスンは遊びの延長だと思っていたのでしょう。
私は、近所の洒落たラウンジバーに行きました。
そこで貧乏なのにオレンジフィズを注文しました。
飲み終わる頃、悲しくなって泣きました。
お店の人が私に声をかけようか?悩んでいるふうに見えた時、ちょうど携帯電話が鳴りました。
夫からです。
ブチって切って着信拒否に設定しました。しばらくしてメールが来ました。
「何時に帰る?」
めっちゃ腹が立ち無視しました。
夫は一応、急いで家に帰って来たようでした。当たり前ですけどね。
すぐに長女が電話をかけてきました。
長女の電話に出ないわけにはいきません。
仕方ないので出ました。
「ママ何時に帰る?今どこに居るの?」
「用事で遅くなるから寝ててね。」と言っても娘は
「ママ早く帰って来て。」と言います。
夫が横にいて言わされてるのが分かります。
本来、長女は私の行動に興味がないので「遅くなる」と伝えると「わかった。」としか言わない子なのです。
「本当はね、頭が痛いから薬を飲んでスーパーの椅子で休憩してるから薬が効いたら帰るね。」と長女に嘘を言い電話を切りました。
どうしようか悩んだ末に30分経って家に帰りました。
とりあえず、次女はもう寝ていたので長女に
「パパがママが頭痛いのにパチンコ行って飲みに行ったから話し合いするね。」と言うと
長女は
「わかった。パパダメよね。ママ頑張ってね。」と励ましてくれました。
夫に話があるから公園に行こうと誘い一緒にマンションの横にある公園に行きました。
なぜ公園に行くかというと、以前つまらない言い合いの時に夫の声の大きさで子どもを怯えさせたことがあったからです。
しかし、そこの公園で思いもよらない夫の攻撃を受けてしまいました。
なぜわざわざ公園で話すのかもわからないようでした。
夫は自分の両親が毎晩茶碗が割れるほどの大喧嘩をしている環境で育ったので、多少の夫婦の言い合いくらいは子どもに聞かせていいと言っていました。
「少し自分が忙しいくらいで死にたいとかおかしくないか?誰だって忙しい日があるし、周りが気が付かない日だってあるじゃないか。
俺だって忙しい時にお前が遊びに行ってても俺は文句は言わないだろう?しかも病気なら頭が痛いから帰ってくれと言えばいいのに言わずに死にたいとか言うか?
そもそも、日頃から遊び回っているのに俺がちょっと飲みに出たくらいで死にたいとかないだろ。」夫は酔っていると日頃と違いよく喋るのです。
夫は子連れで公園に出掛ける私を遊んでいると思っていました。それなら子育てを楽しめる私は毎日遊んでいるのと同じことです。
恐いのは、私自身もそう思っていたことです。
そして自分も大した稼ぎがないのに文句を言ってもいいのかと悩み始めました。
製図の仕事を辞めて普通の人のように働いて家族を支えて欲しいと遠回しに伝えてみました。
夫は、即答しました。
「お前がピアノを辞めて働けば俺は製図を辞めなくて済むじゃないか。俺の方が収入が多いんだから辞めるのはピアノの先生だろう。」
夫は、私が家事とほぼ1人でしている子育てを全く評価していなかったのです。
そして、私が可愛く手伝ってぇ!と頼んだ子どものことや家事をしたことを『優しい良い夫』だと思っていたようでした。
子育てを心から楽しめる私も、ある程度のトラブルなら楽しめる私も、貧乏で質素な生活を工夫して楽しめる私も、夫からしたらストレスのないハッピーな奴でしかないのです。
自分の服も子どもの服もほとんど買ったことがなく友人から譲り受けたものでした。
私も娘も髪の毛は伸ばして、結んで散髪代を浮かせていました。
私はゴワゴワの天然パーマの髪の毛ですので左側にまとめて大きな三つ編みをいつもしていました。
時々、そのまま、下から20㎝を切り落として済ませていました。美容院など結婚してから数回しか行ったことがありませんでした。
公園でいろんなお母さんと友達になり保育園も裏技を使い入れるようにしたり、言葉の遅い娘に外遊びで友達をたくさん作ってやり、洋服のお下がりを貰ったり、お友達のお宅にお邪魔して他所の家庭の雰囲気を味合わせてもらったりと、そんなことも夫からすれば遊びで片付けてしまうのでしょう。
今、考えると私だったから回っていた家庭生活だったとわかります。
その時は、頭が回らずもうダメだと思いました。
離婚‥
わかってもらうのは無理。
離婚‥
頭の中でぐるぐると回るこの言葉を声に出そうか‥そう考えていると夫の話は雑音にしか聞こえなくなっていました。
つづく
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