第31話 BONES - 骨は語る -

 去年、マーベル作品目当てにディズニープラスに加入しました。一通り見たかった作品を見終わって解約しようかなと思った矢先に、たまたま配信されていた『BONES - 骨は語る -』にドはまりし、全246話を一気見してしまいました(2カ月かかりました)。


 ドラマの内容は、殺人事件が起きて遺体を科学捜査して解決するという、CSIシリーズや、検視官を主役にしたシリーズものと同じよくあるパターンなのですが、キャラクターとシナリオ、セットや小道具などがとにかく良くできていて、類似のドラマとは一線を画す出来となっています。小説執筆の参考になる点もあるかと思いますので、ご紹介したいと思います。


 まずはキャラクターですが、BONESではジェファーソン研究所という架空の研究組織に所属する研究者が活躍します。


◇主要キャラクター

ブレナン博士:主人公。骨の分析にかけて世界一優秀な法医学者。常識が全くない。骨が大好きな超美人。

ブルース捜査官:ブレナン博士と捜査をするFBIの捜査官。マッチョなイケメン。研究者たちと対称な、スポーツ万能、カソリックの文系人間。

ホッジンズ博士:虫と鉱物の専門家。危険な実験が大好き。

ザック:ブレナンの下で働く学生。数学が得意な超天才オタク。

アンジェラ:顔復元の専門家。腐乱死体を見て喜ぶ研究者たちと違って、死体を見ると吐く常識人。

サローヤン博士:研究所長。内蔵の専門家の元検視官。非常識な部下に頭を抱える常識人。


 主人公のブレナン博士が、ステレオタイプの理系人間として描かれており、科学的に説明のつかない存在は一切認めず(当然、無神論者)、超合理主義者のため常に単刀直入で全く周りの空気が読めない、強烈なキャラクターになっています。


 しかしながら、本人は全く悪気が無く、普段皆が常識だと思っていることが本当は間違っているのではと思わせる説得力のある台詞まわしが本作品の見どころです。余談ながら本作を観ると、巷でよく言われる「アメリカ人は日本人と違って曖昧な表現をしない」は嘘で、アメリカ人でもブレナン博士のような人物は少数派だとわかります。変人ぞろいの研究者たちも、ブレナンの行動には唖然とすることがしょっちゅうです。


◇ブレナン博士の超合理的&空気が読めないエピソードの例

ブレナンがとある大学を訪問して講演した後、学生が話しかける

「是非ブレナン博士の下で働かせてください! 私は大学で三番の成績です!」

「それじゃ、一番の学生を紹介して」

「……」


◇ブレナン博士の自信家&空気が読めないエピソードの例

検察官がブレナンを紹介する。

「こちらはブレナン博士。アメリカ一の法医学者が、あなたが犯人だって証拠を見つけたわ」

「いいえ違います」

「えっ?」

「私は世界一の法医学者です」

「……」



 ブレナン博士以外も研究者は皆変人というステレオタイプな描き方をされており、どのキャラクターも一度見たら忘れられない、つまり、キャラクターを誤認することなく確実に見分けることができます。


 このということがとても重要で、登場人物が増えても、「この人誰だっけ?」となることがありません。シーズンを重ねると、だんだんとレギュラーメンバーが増えていきますが、全て区別できる秀逸なキャラクター造形となっています。


 そして、一話ごとのストーリーは、下記のような構成となっています。


1.街中で死体が見つかる。

 一般人が日常を楽しむユーモラスなシーンから始まり、死体を見つけて悲鳴を上げるというお約束。

2.ブレナンの日常生活描写

 ブレナンが非常識な行動をして、周りを唖然とさせるというお約束。そこに死体発見の連絡が来る。

3.死体の調査

 リアルに作られた死体から、研究者たちが嬉々として骨や内臓を取り出して調査する。この死体の造形が見事で、蛆のわいた内蔵とか、どうやって撮影したのだろうと感心します。

4.死体から発見された証拠を元に容疑者を取り調べるが、犯人ではない。

5.死体を再調査中に、メンバーの私生活に何かしら問題が起こる。

6.新しい証拠を発見する。

7.真犯人を捕まえる。

8.メンバーの私生活の問題解決


 たいていこの流れで話が進みますが、メインの殺人事件と並行して、研究所のメンバーの私生活の問題も解決するという螺旋型の二重構造になっており、かつ、それぞれの問題が相互にリンクするという巧みなストーリーが展開します。


 さらに一話完結のストーリーが集まって全体の大きなストーリーを構成し、超合理主義者のブレナンが、感情的で直感人間のブースとの交流でだんだんと人間味を増していく過程が、連続ドラマとしての見ごたえとなっています。


 映像作品として演出も素晴らしく、上で述べた死体の造形や、各メンバーの個性的な研究室、アメリカの様々な風土を魅せるロケ(稀に海外にも行く)など、一話一話がマンネリにならないよう様々な工夫が為されています。


 ストーリー、キャラクター、役者の演技、撮影技術と、アメリカドラマの底力を見せる素晴らしい作品でした。


 ディズニープラスに加入している方は、是非ご覧下さい!


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