第32話 チャットAIで文章を膨らませる

 巷で話題のチャットAIを使って、文字数が足りない小説の水増しができるか挑戦してみました。


 利用したのはMicosoftのBingで、チャットAIのエンジンはChatGPTを開発したOpenAI 社が開発しています。


 サンプルに利用したのは拙作『大鷲は大空を飛ぶ』の第一話から抜粋しました。


■質問1

◇AIへの入力

次の文章を膨らませて下さい。「『ネットに負けるな地上波の限界に挑戦、本音で大激論 責任は俺がとる』司会の西あたるです」  真面目さを繕った中年男の顔がアップでテレビに映った。 「本日は、首脳会談のため来日した中国のゴルバチョフこと汪思齐について、とことん議論したいと思います。議論に加わって頂くメンバーは、官房長官の民自党森田真一、野党からは国民社会党政調会長久保田花音、令和一新党党首金栗守、日本の独立を守る会幹事長斎藤健介、そして、辛口政治評論家の新藤太郎、安全保障の専門家であるノースイースト大学国際政治学部客員教授ジェシー・バカラの6人です。最強の論客が勢ぞろいしました」  カメラが一人一人ゲストの顔をアップし、それぞれのプロフィールテロップが流れる。


◇AIの出力

この文章を膨らませると、次のようになるかもしれません。


「『ネットに負けるな地上波の限界に挑戦、本音で大激論 責任は俺がとる』司会の西あたるです。今夜は、日本の未来に関わる重大なテーマに切り込みます。それは、中国の新指導者との関係です。先日、北京で開催された中国共産党第二十回大会で、ゴルバチョフの再来とも言われる改革派の汪思齐が総書記に就任しました。そして、今日、彼は初めての外遊先として日本を訪れ、安倍首相との首脳会談を行いました。この会談の結果はどうなったのでしょうか?日中関係はどう変わるのでしょうか?日本の国益はどう守られるのでしょうか?これらの疑問に答えるべく、本日は、政界、学界、メディアから、最高の知識と意見を持つ方々をお招きしました。議論に加わって頂くメンバーは、官房長官の民自党森田真一、野党からは国民社会党政調会長久保田花音、令和一新党党首金栗守、日本の独立を守る会幹事長斎藤健介、そして、辛口政治評論家の新藤太郎、安全保障の専門家であるノースイースト大学国際政治学部客員教授ジェシー・バカラの6人です。最強の論客が勢ぞろいしました。それでは、さっそく、汪思齐総書記との首脳会談の内容について、官房長官の森田さんからお聞きしたいと思います。森田さん、どうぞ」


◇考察

 本作は2030年が舞台なのですが、しています。それを除けば、うまく文章を膨らませています。


■質問2

◇AIへの入力

次の文章を3倍に膨らませて下さい。 「議論を始める前に、視聴者の方が状況を理解できるよう汪思齐がどんな人物なのか、今回の訪日がどのような影響を日本に与えるのか、簡単にご説明してもらえますか、ジェシーさん」  西が背景説明をジェシーに振ると、ジェシーは知的な笑みを浮かべ、アメリカ人とは思えないネイティブのような日本語ですらすらと説明を始めた。


◇AIの出力

この文章を3倍に膨らませると、次のようになるかもしれません。


「議論を始める前に、視聴者の方が状況を理解できるよう、汪思齐がどんな人物なのか、どんな政策を掲げているのか、そして、今回の訪日がどのような意味を持ち、どのような影響を日本に与えるのか、詳しくご説明してもらえますか、ジェシーさん。ジェシーさんは、ノースイースト大学国際政治学部の客員教授で、中国の政治や安全保障に関する研究をされている方です。また、日本のメディアにもよく出演されていて、日本人にも馴染みのある方です。ジェシーさん、どうぞ」


西が背景説明をジェシーに振ると、ジェシーは知的な笑みを浮かべ、アメリカ人とは思えないネイティブのような日本語ですらすらと説明を始めた。「はい、西さん、ありがとうございます。汪思齐という人物について、まずは基本的なプロフィールからお話ししましょう。汪思齐は、1965年生まれの58歳で、中国共産党の第六世代と呼ばれる世代のリーダーです。父親は、文化大革命の時に迫害された元高官で、汪思齐自身も苦労して教育を受けました。北京大学で法学を学び、その後、ハーバード大学で経済学の博士号を取得しました。中国に帰国後は、経済改革や反腐敗の推進に尽力し、上海市長や財務部長などを歴任しました。そして、先日の党大会で、習近平の後継者として総書記に選出されました。汪思齐は、中国の経済発展を維持しつつ、社会の不平等や環境問題にも取り組むというバランス型の政策を掲げています。また、外交面では、米中対立の緩和や多国間主義の強化を目指しています。その一環として、今回の訪日は、日中関係の改善と協力の拡大を目的としています。日本と中国は、経済や安全保障など、さまざまな分野で密接に関わっているので、この訪日は、日本にとっても重要な機会と言えるでしょう。しかし、同時に、中国の軍事的な挑発や人権侵害など、日本にとっても懸念すべき問題も多くあります。そこで、日本は、汪思齐との会談で、どのような姿勢をとるべきなのか、どのような成果を得るべきなのか、これから議論していきたいと思います」


◇考察

 最初に入力したデータを学習したためか、重複した文章となっています。また、経歴をまるで本当のように勝手に作ってくれるのは、さすがAIの面目躍如たるところでしょう。後で辻褄が合わなくならないよう。使うときは人物プロットに経歴を追加しておくよう気を付ける必要があります。



■質問3

◇AIへの入力

次の文章を要約してください。 「次元タワーに行きたいんだが、ドライバーを探している」 「あいつがそうじゃないか」  傷だらけの顔の男が答える。  南町奉行所に勤めている俺だが、この店は初めてだ。  酒場にいる化け物じみた連中の中からドライバーと思しき人物を見つけ声を掛ける。 「おい、次元タワーへ行きたんだが」 「……」 「これがあれば行けると聞いているが」  俺がチケットを見せると、ドライバーは無言でうなずき、千鳥足でオンボロの車へと案内する。 「おい、大丈夫なのか? これから行くのはあの次元タワーだぞ」 「人も車も見た目で判断するんじゃねぇ。俺は一度も失敗したことはねぇんだ」 「わかった。頼む」  移動中、俺は緊張の糸を緩めることなく、前後左右、全てに意識を集中した。  しばらく走ると、次元タワーの威圧的な形が姿を表した。20年前まで、東京都庁と呼ばれていた建物が……。  今から20年前、東京に一人の知事が誕生した。 「私が当選した暁には、腐りきった東京をぶち壊し、魔都として再生します」  自らを安倍晴明の子孫と名乗るその男は、最初は、ただの泡沫候補だった。しかし、既存の政治家に飽きた都民が面白半分に投票した結果当選した。    都民が後悔した時は、すでに遅かった。  こいつは本当に悪魔の手先だったのだ。  東京は魔都となった。  東京オリンピック後の大不況で、膨大な財政赤字を抱えた東京都を再生するため、地名や建築物等、ありとあらゆるものをネーミングライツとして売り出したのだ。  ライトノベルで出版不況を乗り越えた出版社と、ゲームメーカーが主要な買主となり、恥ずかしげもなく、自社の作品に出てくる名称で、多くの歴史ある名称を置き換えた。  また、赤字の都バスは廃止し、配車サービスを大規模に規制緩和した。ただし、完全自動運転車は、国の規制により必ず人間のドライバーを乗せる必要があったため、東京都は、自動運転専用の免許(自分の名前だけ書ければ誰でも取得できる)を新設することで対応した。  俺は、南町奉行所(旧中央区役所)から、次元タワー(旧東京都庁)に行くため、スマホで配車サービスを予約した。ドライバーは、★が3つ付いていたが、ハロウィーンで浮かれ、ぐでんぐでんに酔っ払っていた。自動運転車は、頭では安全だとわかっているのだが、何度乗っても緊張する。  ネーミングライツの期限は来年切れる。今度はアラブ諸国が落札するとの噂があり、地名が読めなくなるのではとの不安が都民の間で広がっている。


◇AIの出力

この文章を要約すると、以下のようになります。


「次元タワーに行きたいという南町奉行所の男が、酔っ払いのドライバーと自動運転車で移動する。次元タワーは、魔都となった東京の象徴で、旧東京都庁である。魔都は、悪魔の子孫と名乗る知事が、ネーミングライツで東京の名前や建物を売り払った結果となった。」


◇考察

 オチが命のショートショートは、要約には向いていませんでした。



■まとめ

 全体として、それっぽい文章を作ってくれており、出力された結果を修正すれば十分使えるレベルであり、公募等で文字数が足りないときの水増しには、かなり便利そうだなと思いました。

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