第2話 小説執筆における分業の可能性
基本的に小説は一人で書いているケースが多く、ほとんど分業がすすんでいない。プロの場合でも、編集者が取材の手配をしたり、校正家が文章チェックをしたりはするが、文章自体は基本的に一人で書くだろう。
漫画のスピンオフや、映画のノベライズなどの、原案を漫画家や脚本家が書いているケースや、ペリー・ローダンシリーズのように複数の作家がローテーションして書くケース、複数の作家が一つのテーマに沿ったアンソロジーとして競作するケースはあるが、一本の小説をシーンごとに分担して執筆するケースは、あまりみかけない。
アニメの脚本であれば、監督のコンテにしたがって、複数の脚本家がローテーションを組んで台本を作っているが、これも小説の分業とはちょっと違う。
しかし、これは不思議な事だと思う。
漫画だと、最初は一人で全て書いていても、売れっ子になってアシスタントを雇えるようになると、漫画家が書くのは、ネームと主要人物ぐらいで、背景や、モブキャラはアシスタントが書いているケースが多いだろう。
映画でも、最初の予算10万ぐらいの自主映画であれば、脚本、演出、編集を一人で行ったとしても、作品が認められて予算が付けば、監督、脚本、編集、演出、キャスティング、ロケーションなど、それぞれの分野で得意な人を集めて制作するだろう。
そうすると、小説でも、短編やショートショートであれば、一人で全て書くのが普通でも、長編であれば、もっと、分業が進んでもいいのではないか。
メインの作家がプロット及び第一稿を書いて、戦闘シーンが得意な人や、官能シーンが得意な人、会話が得意な人などが、メイン作家の不得手な部分や手の回らない箇所を加筆修正して、一本の作品を仕上げる。小説のプロダクション化である。
そうなれば、小説アシスタント、もしくは、小説演出家とでもいう仕事が生まれてくるのではないか。
公式によると、現在、作家に何らかの形で収益をもたらす方法を検討中とのことだが、カクヨムのような、コミュニティ機能を備えたウェブ小説のプラットフォームならではとして、自分の小説の執筆を手伝ってくれた作家に謝礼を渡す、という方法もあるのではないか。
専業の作家としてやっていくのは無理でも、文章を書くのが好きな人が、空いている時間に小遣い稼ぎができるというのは、需要がある気がする。
漫画のアシスタントで修行してデビューする人がいるように、小説のアシスタントで腕を磨いてから、先生のコネを使ってデビューするというのもありかもしれない。
迫力のある戦闘シーンが書けない自分としては、誰か、戦闘シーンを書き直してくれないかな、と結構本気で思っています。
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