第3話 昔ズル休みをしていた少年が、今皆勤賞を取る

 小学校の頃、私は体が弱かった。

 しょっちゅう風邪をひいては、病院に行って学校を休んでいた。月に一回は、風邪をひくというハイペース。そして、それにかこつけて、ズル休みもしていた。


 普段から、体が丈夫な子どもだったら、ちょっとぐらい体調が悪くても親が休ませなかっただろうが、普段から病弱な子どもだと、休みやすい。そして、小学校の頃の私は、気合で熱をあげるという、特殊能力(?)があったのだ!


 病は気からというが、もともと子どもは体温が高いので、平熱が36度6分ぐらいだと、気合で37度超えができた。人間とはなかなかすごいものだ。


 気合で上げられない時は、湯たんぽである。親がいない隙に、こっそり湯たんぽに体温計をあてて熱をあげる。ただし、40度超えなどしたらたいへんだ。そのときには、すぐさま体温計を振って(水銀計だったので)、37度ちょっとまで下げる。


 そうやって、子どもながらに、頑張ってズル休みをしていた。まぁ、きっと、親は気付いていたんだろうなと、今なら思います。


 しかし、そのズル休みをしていた子どもが社会人になると、ズル休みをしなくなった!


 前日、飲み会でふらふらな状態でも、ちゃんと起きて会社に行く。それどころか、多少熱があっても、重要な仕事があるときは無理してでも行く。台風が来ても行く。


 もちろん、病欠もしたし、有休もとりましたが、あくまでも「ズル休みはしなかった」、別の言葉で言えば「サボらなかった」ということです。


 まぁ、これは普通の社会人ならよくある話かと思います。なんだかんだで、お金を稼ぐとなれば、人間、まじめに働くし、多少も無理はするでしょう。


 今回、カクヨム3周年記念の、2週間で10のテーマで作品を書いて投稿するというイベントで皆勤賞をとった。しかも、報酬は、たった500円の図書カード。


 なにげにかかった、おおよその時間を計算すると、

 執筆:15作品✕4時間=60時間

 読書:500作品✕5分=2500分≒40時間

 合計:100時間

となるので、時給5円ww。


 つまり、お金目当てではない。

 かと言って、名誉というわけでもない。

 始めたから意地になって、というわけでもない。

 楽しかったと言えば、楽しかったが、改めて考えると100時間も費やすほどのことかな、という気持ちもある。

 

 もし、ズル休みをしていた子どもの頃のまま、今回のカクヨム3周年記念に参加していたら、たぶん、途中でやめていたでしょう。きっと、社会人になり、ズル休みはしないという習慣を叩き込まれたせいで、なんとなく最後まで続けてしまった、というのが一番合理的な説明なのだろう。


 決められた作業を毎日するという、尋常でなく凄いことが、いつの間にか自然にこなせるようになる。


 日本の企業社会というのは、なんだかんだで、すごいんだなと、あらためて思いました。


※ちなみに、今は気合で熱をあげることができません。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る