第26話 ホラー小説を書くのは難しい
小説のジャンルは多岐にわたりますが、ホラー小説というジャンルは、他のジャンルと比べても、特有の難しさがあると感じます。
SFやミステリーなどのロジックが重要なものは、自分自身で自らが書いた小説の良し悪しをある程度客観的に観ることができる。ここが辻褄が合わないなとか、ここはもっと説明しようと、推敲を重ねるごとに作品の質が良くなる。
恋愛ものなんかだと、これはもう自分に酔ってるわけで、そもそも小説なのか自分の考える恋愛論なのか明確な区別もなく、ただひたすら自分の書きたいことを書けばよい。もう、完全に趣味の世界です。他人に読まれなくたってかまわない、自分が満足できればそれでいい。
一方、ホラーは100%読者がその作品の価値を決めるわけで、作者があんまり怖くないと思っても読者が怖いと思ったらそれは良い作品だし、作者がこれは怖いはずだと思っても読者が怖くないと思ったらダメな作品なわけで、作者の評価が入る余地は全くない。
さらに厄介なことに、推敲すればするほど自作の価値がわからなくなる。小説でも映画でも、ホラー作品は最初に見たときは背筋が凍るぐらい恐怖を感じますが、二回、三回と観ると全然怖くなくなってしまう。最初に、貞子がテレビから出てくるシーンをみたときは本当に心臓が止まるかと思いましたが、今は夜中に一人で見ても全く怖くないです。
それと同じで、自作を見直すたびに「はたして、この作品は怖いのか?」という疑問がどんどん沸き上がり、書いていて何が何だかわからなくなってしまう。
そんなわけで、「5分で読書」のホラー部門に、いちおう出すだけ出したのですが、自分でもはたしてこれは怖いのか? という疑問符が付いている状態です。また他の人の作品を読んでも今一つ怖いものがなく、ホラー部門は相当な難関部門であり、逆に凄いのが書けたら受賞のチャンスは大きいのではないかと思います。
◇「5分で読書」短編小説コンテスト「ホラー」部門一覧
https://kakuyomu.jp/contests/5min_short?contest_category_number=2
また、読み手として感じたのは、ホラー小説は他のジャンル以上に文章力が必要だということです。
まず、読み飛ばされてはいけない。斜め読みでは全く怖さが伝わらないため、一文一文じっくりと読ませる必要があり、書き手は相当文章を練る必要があります。
もちろん、誤字脱字なんて、もってのほか。赤い皿や、赤い値、高い血なんかが流れたら、一気に醒めてしまう。
そして、一読で内容を理解させなければいけない。ミステリーなんかだと、読み終わった後に「えっ、どういうこと?」と思って、最初から読み直して「おぉ! そういうことか!」となる作品こそ面白い作品なわけですが、ホラーで「なんだか良くわからん」となったら、もうおしまい。
つまり、ホラーは読者に考えさせてはいけない。考えさせたら負け。理性で判断させずに感性で理解させる必要がある。
よって、作者は何度も何度も推敲を繰り返して、文章を磨き上げなければならない。
って、前段のホラーを書くのが難しい理由にループしているよ!
だから、ホラーを書くのは難しいのだと思います。
※ホラー小説の創作論だと、情景描写や心理描写を緻密に書きましょう、といのが一般的ですが、文字だらけの作品は読み手にとって壁が大きく、言うは易く行うは難し、と思います。
※ホラーは広告非表示にすることも重要だと思います。
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