第28話 長所にも短所にもなる執筆スタイル

 私は小説を書くときに、全体構想を作ってから文章を書くという執筆スタイルです。


 なお、長編であれば構想を文書化して(プロット、あらすじ、設定資料集等)、それを元に各エピソードを膨らませていきますが、短編であればわざわざプロットを作ったりせずに頭の中に漠然とあるものをいきなり書くという違いはあります。


 もちろん、小説は生き物なので執筆中に変化したり、エンディングを変えることもありますが、抜本的には変わらないということです。


 逆に、出だしだけ決めて書く人もいるかと思います。どう話が展開するかは作者にもわからない。俗にいう、登場人物が勝手に動いて物語を作るというやつです。


 どちらがよいのかということもなく、作家によっては作品ごとに変える人もいるかと思いますが、私は自由に物語を発展させるということができない質です。そのため、文章量を変化させる、とくに増やすのが苦手です。


 一割ぐらいであれば、描写を細かくして増やすなどで文字数を調節できますが、倍にしようとかができません。そのため、文字数調整はものすごく苦労します。下手にエピソードを追加したりすると全体のバランスが崩れてしまう。短編を元に長編化した作品もフルスクラッチで作り直しており、短編に文章を追加して長編化しているわけではありません。逆に、自由に書く派の人はいくらでも時間が許す限り、書けるのではとうらやましく思います。


 そして、全体が決まっているため箱庭感が出てしまい、物語世界に広がりが欠けるという欠点もあります。


 一方、全体構成が決まっているので、基本的に起承転結がはっきりとした話になっていて物語がわかりやすい、クライマックスできちんと盛り上がり、すっきりとした結末を作りやすいという長所もあります。


 全体構成派の人は2時間の映画を作るのに向いており、自由派の人は連続ドラマを作るのに向いているのかもしれません。

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