第40話 女のおばさん、男のおばさん
こんばんは。
今日は本屋で出会った人とスーパーマーケットでよく見かける人の話を。
このご時世、色々な人がいて当たり前な世の中になりましたね。
私はノンケですが、同性同士の愛についてはアリだと思っていますし、どんな格好をしても、それはその人らしさで別にいいのでは、と思っていました。
しかし、今日は自分がいかに自分で作った常識という鎖に囚われているのか再確認してしまいました。
本屋で本を探して、ある意味本の背表紙しか見ずに通路を歩いていた時のこと。
哲学書のコーナーで、ミニスカートから出ているスラリとした長い足が目に入りました。
赤いミニスカートに赤いハイヒール。
おや?
そう思って、上を見上げると、背の高いその人は、白髪交じりのキリっとしたボブでしたが、どう見ても男性でした。
私はぎょっとしてしまって、それで自分の凝り固まった「認識」を自覚しました。情けない事に、男のおばさんの恰好に引いてしまったわけです。
そして、いつもスーパーでお会いするおばさんのことを思い出しました。
その方は老年と言っても差し支えない女のおばさんなのですが、いつも赤いルージュに赤いハイヒールで、ベリーショートの髪が素敵な方です。
服装は、後ろから見ると、まるで大学生です。
ある時は真っ赤なノースリーブのワンピースに、やっぱり赤いヒールを合わせてらっしゃいました。
とある日は、白いミニのワンピースに赤いヒールを。
そして今日は白地に黒の柄の入ったハイカラなワンピースと、赤いヒールでした。
確かに、顔を見ると似合いません。若い力でしか着られないものも、確かにあるのです。正直、嘘は言えない。
でも、好きなものを着て、背筋伸ばして歩いておられる姿は、素敵なのです。
私も、どうせ死にゆく命だから、好きなものを着て好きにしたい、と思います。でも、年相応に、なんてどこかでセーブがかかるのを無意識でやっているように思います。
さて、私の実態は、だいたい女のおじさんですが、まだ見た目はおばさんと言えると思っています。本屋で見かけた男のおばさんの実態はどちらでしょう?彼、または彼女はそういう恰好がしたかっただけなのか、女の人になりたいのか。それともただのファッション?
きっと死に別れた婚約者が好きだった恰好なのかも。
未だに忘れられない人の為に、彼(彼女)は今もそれを続けている、とか。
人の詮索はしないように決めてますが、彼(彼女)の人生がどんな流れで、どんな物語があったのかなあ、なんて妄想してしまうのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます