第4話 大樹寺 神(だいじゅうじ じん)

ここは人間界(現在)、日本のA県T市の山奥にあるレーシングカートのレース場。

レーシングカートはよく遊園地で見かけるゴーカートとは違い、最高速は百キロ以上はでる。しかもゴーカートに乗った事がある人ならわかるが、目線が低い、地面に近いので体感スピードは二百キロは超える。


そんなレーシングカートショップでアルバイトをしている、大樹寺 神(じん)は高二の17歳。

そして本日は地区大会の予選会があり、神がアルバイトするショップからも何人か参加している為に、その手伝いに駆り出された。


「店長! このタイヤ何処に持っていきます?」


「そいつなら、あそこに置いといてくれ!」


神がタイヤを指定された所に置くと、


「おにーちゃん♡」


「なんだよ、今忙しいから」


「ブウゥー」


神に言われると少し不貞腐れた態度で少女は言ってきた。


「お!舞ちゃん、今日も我がショップのマスコットガールよろしく!」


「うん。店長さん」


神の妹、舞は神がアルバイトをしているショップに良く顔を出すお陰で、今では舞はショップのマスコットガール的な存在になっていた。


「舞ちゃんがうちのショップに顔を出すお陰で、舞ちゃん目当てのお客さんが増えたから、こちらとしては売り上げがよくなりたすかるよ」


舞は神の一つ下の15歳の高1の女子。髪はストレートで、腰まで有り、栗色の髪が彼女を引き立てる。身長は150程しかないのに、胸が大きく、お尻もそれなりか?しかもおまけに可愛いときている。


「だいたい舞! お前この二ヶ月は学校にロクに行ってないだろう!」


神が言うと、また舞は頬をプクッと膨らませると、腕を組んで神を見ると、


「いいもん!学校なんて! いざとなったらお兄ちゃんに養ってもらうから!」


「舞! 俺はそんなつもりないからなあ!」


作業を一旦やめて、腰に手を当てると、神は舞に怒った顔で言った。そんな神を見た舞は、


「ふんっだ! いいもん、店長さんとこで雇ってもらうから!」


「おっ!舞ちゃん、うちはいつでもウエルカムだぞ!」


「てんちょ〜うう!」


神は恨めしそうに店長を見ると、「あははは!」と笑いながら、冗談だと言ってきた、

神としては、早く舞が学校に行って欲しいが、暫くはそれは無理な事は分かっていた。

なぜなら、この兄妹には霊能力的な物を持っていたため。神はそれに加えて、超能力を持っていた。ただ、この超能力は神が使う時に、両手に直径20センチ程の円状のが出る。それはまるで魔法陣の様な物が。

そして、舞が学校に行かなくなった理由も、その力による物だった。

霊能力‥‥‥人には見聞きする事ができないものもできる力。舞はそれを人前で使ったが為にクラスの人から不気味がられた。そして孤立した。それ以来、舞は学校には行かなくなった。


「けど、ショップに来るお客さんからは、舞の力を不気味に思うどころか、羨ましいがられるんだよなあ。だから舞もここが居心地が良いのかショップに顔をだすんだよな」


神は舞の方を見ながら、そうブツブツと独り言を言っていたので舞が「?」とした顔をした。


「けど、神も女性客に人気があるじゃないか」


店長が少し焼き餅?を焼きながら言ってきます。そしてある女性客の方を顔で見てクイッと首を動かすと、神は、


「えっ?そんな事にないですよ」


と、否定するが、それを聞いた舞の顔がなんだか不機嫌な顔つきに、


「お〜に〜い〜ちゃ〜ん〜!ど〜う〜い〜う〜事!!!」


「へぇ? どう言うて?」


「とぼけないでえ!、私と言うものがありながら!」


「ちょ、ちょっと待て!舞!その発言は何か勘違いされ‥‥」


「うるさい!お兄ちゃん!」


怒る舞は、神の後ろに回ると神に思いっきり抱きつく舞は、神の右手腕をガブリと噛んだ。


「痛ったああああ!」


舞に噛まれた腕を痛そうに摩る神に、舞は不機嫌にプンプンと怒っている。


「だから、あの人達は店のお客‥‥うん?なんだ!何か‥‥‥」


神が舞に言い訳をしようとした時、神は何かを感じた。

それは今までにない感じ‥‥‥。

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