第23話 ジンとミュウのリンク

ジンの目の前に、魔人が迫る!

それはまるで、映画館の4dxを見て体感しているみたいだ。

しかし、これは現実‥‥‥匂いや肌で感じる風だけではない。体で感じる痛みから来る恐怖。魔人が迫り来る恐怖。

その中でジンは叫ぶ。「リンク」と。


ジンの体が白く光りだすと、光りはジンを包む。


そして‥‥‥ミュウもまた光りだすと、その場からスゥーと姿がゆっくりと消えた。



◇◇◇◇



その頃、ブルードラゴンの前には、空飛ぶ二体の魔物が現れ、ブルードラゴンに襲いかかる。


「クソッ!こんな時に」


ギルシェは一旦立ち上がったキャプテンシートに座り直すと、前方の二体の魔物を凝視し、


「あいつらを落とし、直ぐにクラリスの援護に行くぞ!」


「了解!」


ウインクの操縦桿を握る手に力が入る。

「ガアアア!」叫びながら飛行タイプの魔物はブルードラゴンに突進。ウインクはブルードラゴンの機体を魔物から避ける。


「ヒューーーン!ゴゴゴゴゴーーーッ!」


すれ違いざまに、風を切る音と振動が、コクピット内を襲う。一旦は二体の飛行タイプの魔物を交わすが、直ぐに急旋回をして、ブルードラゴンを追いかけ始めた。空を飛ぶスピードでは、ブルードラゴンに軍配が上がるが、機体が80メートルと大きく、旋回するのにも時間がかかる。かたや魔物は5.6メートル程しかなく、スピードは出ないが小回りは効く。


ブルードラゴンも、コクピット下にある口から火炎玉を出し攻撃をするが、スピードを出して攻撃している為に照準が定まらない。


それに地上では、クラリスが瀕死の状態。この場からは余り離れられない。


そんな状態で、ブルードラゴンと魔物二体は激しい空中戦をしていた。そして、ブルードラゴンが、魔物から逃げる時に急降下した時、地上から光るものが見えた。


「何だ?あの光りは!‥‥‥まさか!リンクの光り‥‥‥」


ギルシェは目を細めて、その光りを見た。そしてまた急上昇する、ブルードラゴン。コクピット内の乗組員は全員シートに押さえつけられる。そしてギルシェは急上昇のGに苦しみながら思っていた。


「クウッ!‥‥‥いったい誰が!」



◇◇◇◇



リンクした、ジンとミュウ。光りに包まれるジン。そして、姿が消えたミュウ。


「いったい何が‥‥‥ハアッ!」


ジンの前に突然ミュウが現れた。だが、そのミュウの姿はまるで‥‥半透明。向こう側が透けて見える。


「ミュウ‥‥‥なのか?」


ジンが目の前のミュウに言うと、ミュウは振り返りジンを見て、ニコリと微笑むと、その姿は、まるでジンの体に吸い込まれるように消えた。その時、ジンは感じた‥‥‥ミュウと一つになる感じを。


だがこの時、魔人はメイリの魔法で貼った、ブラインド ウォータを破ろうとしていた。

魔人は口から光線のようなものを出す。その姿はまさに怪獣!

なんとか凌いでいたメイリも


「もう‥‥‥ダメ‥‥‥」


メイリは力が限界に近く、地面に膝をつく。

魔人は「ドス!ドス!」と地響きを立てながら近づき、ついにメイリの前に来た。そして、

魔人がメイリのブラインド ウォータ諸共、巨大な足で踏みつぶそうとする。


「‥‥‥もう‥」


その時、魔人に地響きを立て体当たりをするケルベロスの姿が、メイリの目に映った。


「ケルベロス‥さん‥‥」


しかし魔人は態勢を立て直すと、ケルベロスに光線をはいた。ケルベロスは光線を避けるが、光線が体をかすめる


「チィッ‥痛っ!‥‥今の私を舐めるな魔人!」


ケルベロスは口を大きく開けると、首を振り魔人目掛けて炎の塊を投げた。


「ゴオオオ!ドオーーーン!」


炎の塊は魔人に当たると炸裂する。苦しむ魔人。魔人はまたケルベロスに光線をはく。ケルベロスも避ける。しかし魔人はケルベロスの動きを読んだのか、光線のはく位置を変えた。


「があっ!」


光線はケルベロスの後ろ左足を貫通。その場で苦しむケルベロスに魔人は容赦なく光線を浴びせる。必死に逃げるケルベロスに魔人は体当たりをする!


「ズドオーン!ズザザザザアー!」


吹き飛ばされ、倒れたケルベロスを目の当たりにした舞は恐怖で身体が震え、言葉も震えた。


「‥‥ケ‥ケルベロス‥あ‥あ‥お兄‥‥お兄‥ちゃん‥‥‥お兄ちゃーーん!!」


「ケルベロスさん!そんな‥‥‥」


メイリも唖然とする。今、助けてもらったケルベロスが、魔人にいとも簡単に吹き飛ばされた事に。そして魔人がそんなに強いのか、と思った時、メイリの後ろで、何か途方もない力を感じ、見ると、


「えっ!、何故貴方が‥‥リンクを‥」


そこに立っていたのは、メイリと同じ衣装を着たジンが立っていた。しかし袴はスカートに似た袴ではなく、袴だ。

そんなジンは、魔人を睨み付けると、一歩また一歩と魔人に近づく。ジンはメイリの横を通る時、メイリの肩を、ポンと軽く叩くと、


「後は俺に任せてください‥‥」


一言言うと、ジンは魔人にまた近づいて行った。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る