第22話 叫び
魔物に突き刺さったのは謎の黒い矢。
その矢からドス黒い泡状の物が出てくると、一瞬で魔物を覆い隠した。
「先輩!‥あっ!‥ミミ!逃げてぇ!」
「何?どうしたの!」
次の瞬間、振り向いたクラリス目掛けて光の矢の様なのがクラリスの脇腹を貫いた。一瞬の事で、何が起きたかわからないクラリス(ミミ)は
「えっ?‥‥なん‥で‥わたし‥血‥流して‥‥」
バタン!その場に倒れてしまった。
その姿を見たメイリは、何がどうなったかわからなく呆然とし、ただ確実にわかっていたのは、自分の目の前に血を流し倒れたクラリスがいた事‥‥そしてメイリは我に帰り、体を震わせ
「‥‥‥せ‥先輩‥‥‥クラリスせんばあああああい!!」
叫んだ。ただ神だけは、何処から光の矢の様な物が飛んできたのがわかっていた。
「あそこ‥‥から‥なのか?‥‥いや!あそこだ!」
神が見たのは黒い泡状の塊。そして今度は神とメイリに目掛けて光の矢が飛んできた。
「ピカッ!」黒い泡状の中で一瞬光る。
「あぶない!」神はメイリに飛びかかり、あわやのところで光の矢を避ける。地面に刺さる光の矢。しかし次の瞬間「ドオーーン!!」と轟音と共に神とメイリに爆風が襲う。
「グゥッ!」 「きゃあああ!」
神はメイリに覆いかぶさり、メイリをかばいながら爆風をしのいだ。
「あれは‥‥光の矢ではないぞ!‥‥あれはまるで‥まるで‥光線だ!」
◇◇◇◇
「なんなんだあれは!クラリス達は無事なのか!」
ギルシェはキャプテンシートから立ち上がると、ブルードラゴンの操縦桿を握るウインクに叫ぶ。
「ここからではわかりません!」
ウインクは慌てる様にギルシェに言う。
自分の部下が倒されたギルシェは、拳を作り歯をくいしばる。
「私が出る! ウインク後は‥‥」
「チーフ!前方に二つの黒い魔法陣が!」
「なに!‥‥こんな時に!」
ウインクが前方を見ながら叫ぶと、黒い魔法陣から飛行型の魔物が二体あらわれ、ギルシェは拳をシートにバァン!と叩きつけた。
➖➖➖どうする?お前らがこの状態をどう切り抜けるか、楽しみだ➖➖➖
◇◇◇◇
神達の目の前の黒い泡状の中から光線を出しながら尖った口が出てきた。そして下からは巨大な足が「ズシーン!」と音を立てて現れた。
「なんだよあれは!」
神が叫ぶと黒い泡状の中からまた巨大な足が「ズシーン!」と現れ、そして徐々に姿を現した物を見たメイリは恐怖に震え、一言
「‥‥‥魔人‥」
「魔人?」
その姿は巨大なワニ?ワニを二足歩行にした様な感じだ。そして尻尾はヘビ。先端にヘビの顔がある。更に悪い事に大きさが魔物より一回り大きくなっていた。15、6メートルくらいはあるか。その魔人は、今度は血を流し倒れたクラリス目掛けて光線を出そうとしていた。
それに気づく神は
「魔人‥魔人ではなく、あれは怪獣だろ!」
神は両手に魔法陣を出すとテレポートでクラリスの前に立つ。そして魔人の光線が神とクラリスを襲う。テレポートする隙がなく、クラリスを抱き逃げようとする神に、光線はまたも地面に突き刺さる。そして
「ドオーン!」と音と共に吹き飛ぶ神とクラリス。
「グアッ!」
転げ吹き飛ぶ二人。神の手からクラリスは離れ、神よりも吹き飛ぶクラリス。その瞬間クラリスの左腕の魔法ブレスレットが「カランカラン」と外れ転がると、クラリスの体が分裂した。
「クウッ!大丈夫か‥‥なあ!体が分裂‥‥した‥‥」
クラリスを見て驚く神にメイリは叫ぶ!
「先輩!!!‥‥あっ!‥強制‥リンク‥アウト」
強制リンクアウトは魔法ブレスレットを外す事で元の二人に戻る事。しかしこの状態では、この魔法力が無い世界では魔法がつかえなくなる。そしてクラリスは血を流し倒れ、元に戻った女神候補生のミミは気を失っている。そんな二人目掛けて、魔人は「ズシーン!ズシーン!」とゆっくりと音を立てて迫る!
転がったブレスレットは神の足元に当たりとまる。
神は魔人を睨みつけ
「くそっ!二人を置いて逃げるしか無いのかよ!」
悔しそうに魔人を見て呟いた。
そんな神を見ていたミュウは、神の足元にあるブレスレットに気づく。ミュウも女神候補生。あのブレスレットが何なのかはわかる。ただ、神とミュウがリンク出来るかはわからない。
「けど‥‥ジーーーーン!!!」
叫ぶミュウに神はミュウを見る
「ジン!そのブレスレットを拾って!左腕に着けて!早く!!」
「ブレスレット?」
神は足元にあるブレスレットに気づくと、ブレスレットを拾う。そして左腕に着けた。それを見たミュウは更に叫ぼうとした時、魔人が神達目掛けて光線を出した。神に迫る光線。ミュウは間に合わないと目を閉じた、その時、
「ブラインド ウォーター!」
神の前にメイリか両手を出し、光線を凌いでいた。
「貴方に‥リンクは無理‥先輩を‥連れてにげ‥‥て」
苦しそうに言うメイリに神は思った。またこの人達に助けられるのかよ、と。そして‥
「いやだ‥‥やっても見ないで‥‥逃げたく‥逃げたく‥なあい!!!ミュウウウ!」
叫ぶジンにミュウは答える。
「ジン!リンクと‥‥リンクと叫んでええええええ!!!」
そしてジンは叫ぶ
「リィィンーク!!!」
と‥‥‥。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます