第9話 契約は接吻(キス)
「女神候補生?」
神が言うと少女は頷きます。ただ少女はまだ神をジィーと睨みつけて、「見たでしょう!見たでしょう!」を神に連呼してまだ言ってくる。
「だからさっきも言ったけど、あれは見たんじゃなく見えたの!」
「嘘!だってあたしの事ジィッと見ていた!」
「それはお前が見慣れない格好をしていたからだ!」
「ふん!どうだか!」
なんなんだよこの女は!こうも捻くれた性格の奴と話しても拉致があかない。もうこう言った時は悔しいが、俺が一本折れるかな。
そう思いながら神は少女に向けて、
「はあ〜、俺が悪かった」
神が謝ると、少女はやっぱりとした顔をして腰に手をやり少し大きな胸をのけぞらせて、「えっへん!」と言うと、神に哀れむような顔をして
「まあ、わからないでもないわね!私みたいに綺麗な女神が目の前に居たんじゃあね。わかったわ!今回は許してあげるわ!」
神がそのセリフを聞くと、心の中で
『こいつ本当に女神か?なんだかこいつと関わるとロクでもない事にまきこまれそうな気がするなあ』
神がそう思いながら少女を見ていると少女は少し汚れた服をはたきながら、神の視線に気づくと
「なに?そんなに私が気になるの?そうでしょう!そうでしょう!こんな綺麗な女神が目の前にいるんですから」
「なあ!」
もうこの時点で神は確信した。こいつは女神だがろくな女神ではない、と。しかし‥‥‥と神が考えていた時、巨大な生き物は何かに気づいたような顔をすると、
『そうか、お前の服装何処かで見た事があると思ったが!アンダーワールドの女神候補生か!』
「えっ?アンダーワールドの女神候補生?」
「そうよ!、私は女神候補生のミュウ。とこで貴方!貴方のその下で下敷きになって死んでいる人達はなに?」
ミュウは巨大な生き物の足元に指を指すと、またまた偉そうな態度で言ってきた。が、神もそれに気づき、
「あっ!そうだ!俺は逃げ遅れた人達を助けに来たんだ!この人達をどうしてくれるんだよ!」
その時の神にはあの巨大な生き物に対して恐怖と言うものがなくなっていた。それどころかこれだけの人達を押し潰し殺していたのに、何故か憎めない感じをしていた。
『それなら大丈夫だ』
「はあ?大丈夫だ?これのどこが大丈夫だよ!」
確かにこれだけの血を流し、身体が引きちぎられていては誰が見ても大丈夫だとは言えない。返って諦めがつきそうだ。
『蘇生魔法を使う』
「えっ?蘇生魔法?‥魔法?」
魔法‥‥‥その言葉は神が幼い頃から何度となく聞いた言葉。神にとって魔法は何でもできる物だと思っていた。だが、心も体も大きくなるに連れそれが夢物語の言葉だと感じるようになっていった。が、今、目の前に居る信じられない生き物が魔法と、しかも死んだものを蘇らせる蘇生魔法を使うと言った。
「本当に使えるのか?」
神は心の底から出た言葉を言った。その言葉には魔法が使えるのなら、この目で見てみたい。小さい頃の夢の中でしか使えなかった魔法を。
『使える‥‥‥が、この世界では使えない』
「ガクッ、つ、使えない?なんで?」
『魔法力がこの世界にないからな』
そして巨大な生き物は言う。魔法力とは人が食事をしてそれを力に変えて動いて、生きているように魔法は魔法力、つまり食事に値する物がない為、魔法は使えないと。
『だが、お前の中から魔法力を感じる』
「俺の中?」
『そうだ。そしてそこの小娘‥‥‥』
「えっ?私?」
『お前は女神候補生、だとしたらお前も蘇生魔法が使えるだろう』
「ええ、使えるわよ‥‥‥けど、魔法力が‥‥て、まさか!」
ミュウは巨大な生き物の言葉に驚く。そしてチラリと神の方を見ると、急に赤面して怒鳴りだした。
「ど、ど、ど、どうして私がコイツと!」
『我ケルベロスは
やはりコイツはケルベロスだったんだ。けどなんでミュウがあんなに怒っているんだ?と神は不思議がっていた。
「うん?‥‥‥
神がまたまた不思議そうに言うと、ミュウはまだ赤面しながら、しかも怒りながら言ってきます。
「そうよ!コイツはそう言っているのよ!」
「別に契約ぐらいなんだよ!そうすればこの人達は蘇るんだから」
「そう言う問題じゃないの!契約の仕方よ!」
「契約仕方?」
「そう!」
「どうすればいいんだよ!」
「そ、それは‥‥せっ‥‥モゴモゴ」
「えっ!なんだって!」
「‥‥‥///‥せっ‥////」
「せっ?」
「せっ‥接吻よ!接吻!」
「接吻?‥‥‥接吻て確かキスの事だよな‥‥‥て!はあ!キス!」
ミュウは赤面しながら黙って下を向いてしまった。神はどう言う事なのか理解できない顔をしていたが、キスだけは契約に必要だと分かったらしく、神も赤面しだした。が、その時、空にまた光る円状の模様が浮かび上がった。
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