第15話 魔物(キマエラ)

キメラ‥またはキマイラはギリシヤ神話に出てくる怪物または魔獣。が、ギリシヤ神話は作り話だとジンは、いや、この世界の人々はそう思っていただろう。しかし神の目の前には信じられない生物がいる。そしてミュウは目の前の生物を「魔物」だと言った。


「あれが魔物なのかよ!」


「ええ‥そう!‥‥あれが魔物、キマエラ型の‥‥」


神が魔物を見て今までにない何か恐怖の様な物を感じながらミュウに聞くと、ミュウも恐怖を感じたのか少し言葉を詰まらせながら言った。そして‥‥神は「キマエラ」との言葉に


『キマエラは確かキメラと同じ意味を持つはずだった様な‥‥‥』


そう神が思っていた時、キマエラは「ズズズズズッ!」と足を一歩踏み出すと周りをゆっくりと見渡すと雄叫びをあげた。


「ガアアアアアアアッ!!!」


その雄叫びは空気を震わすほど。周りにあった物は雄叫びで振動したり、ガラスは割れたりした。


「こいつ‥‥‥」


あまりの雄叫びの迫力に神とミュウは、その場に立ち尽くすのがやっとだった。と、その時


「キャ、キャアアア!!」


ケルベロスの背後あたりの観客席辺りから女性の悲鳴が聞こえた。神はその声の方を見ると


「あれは!‥‥舞!」


丘の上から神が心配になり降りてきた舞は、ケルベロスともう一体のキマエラに驚き、その場に座り込んでしまった。それを見たキマエラは「ズズズッ!」とゆっくりと舞に近づこうとする。それを見た神は


「舞!逃げろおおお!!」


叫ぶがあまりの恐怖に舞には神の声が届かない。神は急いで舞の元に行こうとすると、ミュウが神の左腕を掴み、ケルベロスも神の前に立つ。


「なんだ!お前らは舞の所に行くのを邪魔をするのか!」


『そうではない。あの小娘は私が護ろう。お前はそこに居る小娘と契約をしろ!」


「なあ!小娘ですてえ!私にはミュウて言う名が‥‥」


『そんなのはどうでもヨイ!お前はコイツと早く契約をしろ!」


ケルベロスはそう言うと舞の前までジャンプしてキマエラの前に立ちふさがる。


「ガアアアアアアアッ!」叫ぶキマエラ。


『お前には私は倒せない!』


ケルベロスは自分の体内に残っている魔法力を魔法防壁に変え、自分の前に作り出した。

キマエラはケルベロスに突進するが、


「ガアアア! ドッシーーーン!!!」


魔法防壁により弾き飛ばされるキマエラ。しかし何度も突進するキマエラ。そんな様子を見ていた神はミュウに


「ミュウ!早く契約をしろ!あいつもあのままではいつまでもつか」


「私と契約する事はどうなるか知っているの?」


「そんなの知るかよ!俺はみんなを、奴を、舞を助けたいんだ!」


神の言葉にミュウは一瞬下を向き、そして、


「わかったわ!神!目を閉じて!」


「えっ?目?」


「いいから閉じなさい!」


「あ、ああ。わかった」


ミュウの迫力ある怒鳴り声に一瞬驚く神だが、直ぐに目を閉じた。そしてミュウは、


『こいつの魔法力なら‥‥‥こいつとなら‥‥‥』


ミュウは神の両頬に手を伸ばすと自分も目を閉じ‥‥‥神とミュウの唇がそのまま吸い付くように唇と唇が重なり合い‥契約を交わした。

神は薄めを開け今の自分の状態に驚いた。自分の唇にミュウの唇が重なり合っていたことに。その時、神の体に変化が現れた。

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