第17話 一心同体(【リンク】)
上空約1000メートル辺りに白い魔法陣が現れ、そこから出て来たのは‥‥‥青い鎧を纏った龍。いや機械と融合したドラゴン!
ブルードラゴン!
「フゥー、チーフ、無事人間界の異世界に到着しました」
ブルードラゴンの操縦士のウインクが緊張の為か息を一息はくとチーフのギルシェに言った。ギルシェは念のためにコクピット内の中央にある1メートル程ある半球状の中に映し出された3D映像のブルードラゴンのブルーに確認をした。
「ブルー、機体の方は大丈夫か?」
『問題ない!魔法力タンクからの魔法力供給も魔法エンジンに供給されている』
「そうか。魔物の方はどうなっているか?」
ギルシェがメイリに聞くが、メイリは先程の初の発進の体験で目を点にして放心状態になっていた。そんなメイリを心配したのかクラリスが席を直ぐに立つとメイリの隣に立ち、メイリの肩を掴むと体を揺さぶり、
「メイリ!メイリ!しっかりしなさい!」
「‥‥‥あっ‥‥先輩‥‥」
「はあ〜〜っ!メイリ!何が先輩よ!魔物!魔物はどうなっているのメイリ!」
「‥‥‥魔物‥ハアッ!あっ!す、すみません!」
あたふたし出すメイリを見たクラリスはやれやれとした表情をするとまた、ため息をした。
そんなメイリを見たギルシェは
「メイリ!初めてのあの発進だからしかたないが、もう少ししっかりしなあ!」
と、メイリに喝を入れた。
「ハ、ハイ!スミマセン!」
そして直ぐにメイリは目の前のモニターを見た。そしてモニターを見たメイリは驚く。
「チーフ!魔物が二体‥二体います!」
「何!二体だと!本当か!」
「ハ、ハイ!‥‥‥アッ!い、いえ!一体は‥‥‥ケ、ケルベロス?‥ケルベロスです!」
「ケルベロスだと!本当か!」
「ハイ!間違いありません!」
『何故ケルベロスがこの様な異世界に?』
そう疑問に思うギルシェはクラリスに地上の状態をキャプテンシート横にあるモニターに映し出す様に指示を出した。クラリスは直ぐに自分の席に戻るとモニターに地上の様子を映し出した。
「間違いない!ケルベロスだ!魔物はキマエラ型か‥‥うん?近くにこの世界の人が2人いるのか?‥‥そしてもう一人は‥‥あの姿は!」
ギルシェが驚いてモニターを見ると、横にいたギルシェのパートナーの女神候補生のミンバが
「ええ!あの姿は間違いなく女神候補生よ!けど‥‥なんでこんな所に‥‥」
ミンバが言うとコクピット内に居た女神候補生のムル、ミミ、ミリィも驚いていた。何故この魔法力がない異世界にいるのか?と。
そんな時にクラリスがギルシェに
「チーフ!あの規模の魔物なら私にでもなんとかなります。ですから私に行かせて下さい!」
と、嘆願をした。ギルシェは一瞬悩むが‥‥
「わかった!ただし無理はするな!無理だと思ったなら直ぐに逃げろ!いいな!」
ギルシェはクラリスに目を細めながら強く言ったが、しかし内心は心配でしかたなかった。
「ミミ!早速だけど、【リンク】するわよ!」
「ええ、クラリス!」
この【リンク】とは魔法力がない異世界で魔法を使用出来るようにする為、事前にパートナーが魔法ブレスレットを装着しブレスレット内の魔法力を女神候補生を鍵とした事で魔法を使用出来る方法。つまり、パートナーと女神候補生がこの魔法ブレスレットで一心同体になり魔法を使うと言うこと。そしてもう一つ、パートナーに宿る魔法力を、女神候補生が【リンク】する事で、最大限に引き出す事が出来る。
「メイリ!貴女も行くわよ!」
「えっ?‥‥えええっ!私もですかあああ!」
「そうよ!私は魔物を相手にするから、この世界の人の避難を貴女にまかせるわ!」
クラリスはメイリに言って来ると、メイリは最初は驚いていたが、この世界の人の避難ならと、
「ハイ!先輩。わかりました!」
「じゃあ、貴女も【リンク】しなさい!」
クラリスのそのセリフにメイリは少し不安になった。それもそのはず、ミリィとはまだ【リンク】した事がなかったからだ。だが、そんな不安なメイリにミリィは、
「大丈夫よ。最初は違和感はあるけど、直ぐに慣れるわよ。だって私達はあのアース様が選んだパートナー同士だから」
「ミリィ‥‥‥そうね。うん!わかったわ!」
「じゃあ、いいわねメイリ」
「ええ、ミリィ」
「「リンク!!」」
二人は叫ぶとミリィの体が半透明になりメイリの前にスウゥと立つとまるでメイリの体に吸い込まれる様に消えた。
「ミリィ‥‥消えた!これがリンクなの?」
『そうよ!』
「えっ!ミリィ!何処にいるの?声が頭‥‥いえ、体の中から聞こえる様な‥‥」
『私はメイリ、貴女の頭に‥‥心に話しかけているのよ。今の私は貴女と一心同体になったの。これがリンクよ』
ミリィはメイリに話しかけた。そしてメイリにミリィは解除の仕方も言った。【リンクアウト】と叫ぶか、強制的に【リンクアウト】するには魔法ブレスレットを外せばいいと。
戸惑っているメイリにミミとのリンクをすませたクラリスは、
「メイリ!行くわよ!」
「‥‥‥ハイ!先輩!」
そして二人はブルードラゴンに収納されている小型機ホワイトスワローに乗り込み地上へと向かった。
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