第27話 欲
魔物が犠牲者⁈ 。
いったいどう言う事だ?
ジンは魔物に対して、憤りを感じていた。
『あいつらが来なければ、俺たちは平和に‥‥‥。来なければ?、いったい魔物はどうして来たんだ?魔物自らきたのか?それとも誰かに‥‥‥』
そうジンは思っていた時、メイリは空を見上げ叫ぶ
「ジン、お願い力を!空を見て!」
「空を?」
ジンは空を見上げると、魔物が落ちて来るのが肉眼でもハッキリと分かる距離。
「魔物が落ちて来る!」
「ジン!お願い!力を!」
メイリの言葉にジンは決心する。そしてメイリの手を握ると
「これでいいのか!」
「ええ!ミリィお願い!」
『わかったわメイリ!』
するとメイリの体が光出す。ジンはメイリを見ると、
「俺とミュウと同じ‥‥」
そう思いながらメイリを見ていると、メイリの目の薄赤い色が、濃い赤に変わり出す。そして、メイリとミリィは精神を入れ替えた。
『ミリィ、急いで!』
「ええ!‥‥我が主アースよ!魔物を送り返したまえ!バックゲート!!!」
メイリの体を使い、右手を高々と空にあげるミリィ。落ちて来た魔物とメイリ達の距離、およそ100メートルか、魔物の前に白い魔法陣、バックゲートが開くと、魔物は光の粒になり、瞬く間にバックゲートに吸い込まれる様に消えた。
ミリィはジンの魔法力を改めて感じ取ると驚いた。
「なによこの男の魔法力は!桁違いだわ!」
『ええ、私もそう感じるわ。けど‥‥なんなんだろう?ジンの魔法力はなんだか暖かい感じがするわ』
ミリィの驚く言葉に、メイリはそうミリィに言葉を返した。
ジンは間近でバックゲートが開き、そして光の粒になり、一瞬で消えた魔物を見て、空を仰ぎながら立ちすくんでいた。
「これが‥バックゲート‥‥」
『ジン?』
ジンの声にミュウはジンの名を呼ぶ。
「なあ‥‥ミュウ。お前は知っているのか?」
『何を?』
「魔物が犠牲者て事を‥‥」
『犠牲者‥‥ええ。ただ私も詳しくは知らないわ』
「構わないよ。お前の知っている範囲でいい。教えてくれ」
『ジン‥‥魔物は犠牲者‥‥それはこの世に生がある全ての生き物の‥‥欲』
「欲‥‥」
『ええ‥‥魔物がいつどの様に生まれるかはわからないわ。けど‥‥魔物を生む源は、生きとし生けるものの欲と聞いた事があるわ』
「欲‥‥全ての生きとし生けるものの‥‥」
ジンは自分の頭上で、白く輝くバックゲートを見ながら思っていた。
何故あの時、魔物をにくんだんだろうと。
何故あの時、魔物を倒したいと。
何故あの時、魔物を‥‥‥
「だから魔物は倒せないのか‥」
ジンはバックゲートを見ながら思っていた。
そこえ空からバサバサとゆっくり降下して来たケルベロスが、ジン達の前に降りた。
『お前達、やったな』
「ケルベロスさん。ありがとうございます。貴方のお陰で魔物を返せました」
ミリィと精神を戻したメイリが、ケルベロスに礼を言う。ケルベロスはうんと頷く。
そしてそこに舞が息を切らせながら走って来た。
「ハアッ!ハアッ!ケルベロス!お兄ちゃーん!」
「舞‥‥あっ!」
走って来た舞は安心したのか、笑顔でジンに飛びつき抱きついた。
「お兄ちゃん!‥‥無事でよかった。ケルベロス、ありがとう」
ジンの胸に顔を埋め、ジンが無事なのがわかると、舞はケルベロスに顔を向けると、礼を言った。
『礼を言うのはこちらだ。マイは二度も我の怪我を治した。そして魔法力も』
「魔法力?」
『‥‥とにかく、マイ感謝する』
「ケルベロス‥‥うん!」
ケルベロスが舞にお辞儀をすると、舞はケルベロスに笑顔を見せる。そして舞は、ジンを見る。ジンは既に消えたバックゲートのあった空を見上げていた。
「‥‥お兄ちゃん?」
「‥‥うん?‥‥舞‥」
ジンは舞の名を言うと、舞の頭を優しく撫でた。そして‥‥思い出していた。あれは空耳だったのかと。バックゲートに魔物が消える一瞬、聞こえたあの言葉を‥‥
『ありがとう‥‥‥』
ジンは空を見上げながら思い出していた。
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